結婚20年以上の妻に自宅を「贈与」すると遺産分割の対象外になります ~ 相続法の改正で大きく変わります⑦
金曜日は、相続税や贈与税を記事にしています。40年ぶりに相続法が改正されています。
婚姻期間20年以上を条件に、妻に贈与した自宅は遺産分割の対象外になります。
配偶者への自宅の贈与を保護する制度です
婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対し,その居住の用に供する建物またはその敷地を贈与または遺贈した場合は,計算上、遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り扱わなくてよいこととなります。
2019年7月からスタートしています。
一方、すでに税務(相続税法)では「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」があります
夫婦間の贈与で、贈与財産が居住用不動産などで、一定の要件にあてはまる場合、贈与税が課税されない特例です。
夫婦間で居住用不動産などの贈与があった場合、2,000万円の特別控除を行うことができます。
基礎控除110万円と合わせると2110万円まで贈与税が課税されません。
配偶者に自宅を贈る場合、「生前贈与」または「相続(遺贈)」のどちらが有利なのか?
原則としては、次の理由から「相続(遺贈)」の方が効果的だと考えます。
■生前贈与では小規模宅地等特例は使えません。この特例は相続時のみに使えます。
■そもそも、配偶者への相続は「配偶者の税額軽減」で最低1億6千万円まで相続税がかかりません。
■不動産取得税は相続では非課税になります。(贈与の場合は課税になります。)
■登録免許税は、相続の方が贈与より負担が少なくてすみます。
こうしたことから
「結婚20年以上の妻に自宅を贈与で遺産分割の対象外になる」制度を、あわてて利用する必要はあまりないと考えています。
しかし、たとえば後妻と先妻のこどもがあり、相続時に問題が発生するようなケースが想定される場合は、この制度の利用を考える必要があります。
《参照記事》
→ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
→ 配偶者の税額軽減 配偶者の相続した財産にかかる相続税の負担が軽くなります
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください。
相続法の改正で大きく変わります
・18歳から「大人」。成年年齢引き下げで変わる相続税・贈与税
・嫁でも介護などで遺産請求ができるように。「特別寄与料」の相続税の取扱い
これならわかる相続税
② 相続税がかかる財産。相続税のかかる財産の範囲を確認しましょう
⑤ 死亡保険金は相続財産になる?相続税がかかる場合と計算方法
⑦ 弔慰金を受け取ったとき、相続税がかかる場合とその計算方法
⑧ 企業年金など被相続人の死亡により取得する年金受給権。相続税の3つのポイント
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
⑮ 特定一般社団法人等の理事が亡くなった場合、法人に相続税が課税されます
⑳ 相続開始前3年以内の贈与財産の加算と贈与税額控除(暦年課税)
㉑ 「未成年者の税額控除」未成年者の相続で注意すべきポイント
㉒ 障害者税額控除
㉓ 10年以内に父と母が立て続けになくなったなど、連続で相続が発生した場合
㉔ 法定相続人の数は重要です。相続人の中に養子がいるときは注意です
㉕ 代償分割とは、遺産の現物分割が困難な場合に行われる方法です
㉙ 財産がいくら以上であるとかかるのか?いつまでに手続きをするのか?
㉛ 相続時精算課税は相続税のかからない方に有利な贈与税の制度です
㉟ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与の特例は併用できます
㊱ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与特例の併用の際、家屋に居住できないとき
㊲ 消費税増税に伴い、住宅取得等資金贈与の非課税限度額が引き上げられています
㊳ 相続時精算課税選択後、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です
㊴ 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合、相続時精算課税選択届出書の提出
㊵ 年の中途に養子縁組で推定相続人または孫となった場合の相続時精算課税の適用
㊶ 養子縁組した養子の子(孫)は相続時精算課税を受けることとできますか?
㊸ 相続時精算課税を選択する場合の「相続時精算課税選択届出書」と添付書類
㊹ 受贈者が「相続時精算課税選択届出書」を提出する前に死亡した場合
㊺ 贈与者が贈与をした年に死亡した場合「贈与税・相続税の取扱い」の考え方
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
㉑ 遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
「相続税をわかりやすく!」の記事は
http://www.y-itax.com/category/souzoku/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日はテーマを決めずに書いてます
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