医療法人の持分についての相続税の納税猶予の特例~ これならわかる相続税㉗
金曜日は「相続税をわかりやすく!」です。
一方、水曜日に新事業承継税制を紹介しています。これは、事業会社の相続税等の納税猶予・免除の制度です。
今回、紹介する医療法人についての納税猶予の制度は、平成26年度に創設されています。医療法人を対象としていますので、特徴のある制度となっています。
医療法人の相続税の納税猶予の趣旨
医療法人のうち、99.2%が出資持分のある法人です。出資持分のある法人の出資者に相続が開始した場合には、相続人が出資持分を承継することになります。
長年の経営より純資産が蓄積されて、評価額が高額になっています。多額の相続税課税を受けることになり、地域医療の確保が困難になるという理由から、納税猶予制度を設けています。
相続税の納税猶予の特例とは
相続人が、医療法人の持分を被相続人から相続または遺贈により取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人※であるときは、納付すべき相続税のうち、この特例の適用を受ける持分の価額に対応する相続税については、一定の要件を満たすことにより、認定移行計画に記載された移行期限まで、納税が猶予されます。
「認定医療法人」とは
平成26年10月1日から平成32年(2020年)9月30日までの間に、持分なし医療法人に移行する計画を作成し、その計画について厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいいます。
猶予相続税額が免除される場合
認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、次の場合に該当することとなったときは、次の区分に応じ、それぞれに掲げる金額に相当する相続税額は、届出書を提出することにより、免除されます。
①認定医療法人の持分の全てを放棄した場合
届出により免除される額
→ 医療法人持分納税猶予税額
②認定医療法人が基金拠出型医療法人への移行をする場合、持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したとき
届出により免除される額
→ 医療法人持分納税猶予税額から基金として拠出した額に対応する部分の金額を控除した残額
この特例の適用を受けることができない場合
相続開始の時から相続税の申告期限までの間に
①医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合
②医療法人の持分を譲渡した場合
③認定医療法人の持分の全部または一部を放棄し、医療法人の持分についての相続税の税額控除の適用を受ける場合
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これならわかる相続税
② 相続税がかかる財産。相続税のかかる財産の範囲を確認しましょう
⑤ 死亡保険金は相続財産になる?相続税がかかる場合と計算方法
⑦ 弔慰金を受け取ったとき、相続税がかかる場合とその計算方法
⑧ 企業年金など被相続人の死亡により取得する年金受給権。相続税の3つのポイント
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
⑮ 特定一般社団法人等の理事が亡くなった場合、法人に相続税が課税されます
⑳ 相続開始前3年以内の贈与財産の加算と贈与税額控除(暦年課税)
㉑ 「未成年者の税額控除」未成年者の相続で注意すべきポイント
㉒ 障害者税額控除
㉓ 10年以内に父と母が立て続けになくなったなど、連続で相続が発生した場合
㉔ 法定相続人の数は重要です。相続人の中に養子がいるときは注意です
㉕ 代償分割とは、遺産の現物分割が困難な場合に行われる方法です
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
㉑ 遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
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・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
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