「代償分割」遺産の現物分割が困難な場合に行われる方法です~ これならわかる相続税㉕
金曜日は「相続税をわかりやすく!」です。
相続財産となったひとつの土地が財産の大部分で、相続財産の種類や性質によって現物分割が困難な場合があります。
その際、特定の相続人が相続財産の大部分を取得し、その相続人から他の相続人に金銭等の資産を交付する、という遺産分割を採用します。
特定の相続人が他の相続人に代償金を支払うという意味で、代償分割といいます
つまり、代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させます。そして、その現物を取得した人が他の共同相続人に対して債務を負担するものです。
現物分割が困難な場合に行われる方法です。
この場合の相続税の課税価格の計算は、次のとおりです
■代償財産を交付した人
代償財産を交付した人の課税価格は、相続により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額(通常は金銭)を控除した金額
■代償財産の交付を受けた人
代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額(通常は金銭)の合計額
つまり
①代償財産を交付した人
課税価格=相続により取得した財産の価額 – 代償財産の価額
②代償財産の交付を受けた人
課税価格=相続により取得した財産の価額 + 代償財産の価額
この場合の代償財産の価額は、代償債務の相続開始時の金額によります
通常は、代償分割により交付する資産が金銭(現金)です。しかし、交付するものが土地などの現物である場合は、遺産分割時ではなく相続開始時の金額で「代償財産の価額」を算定します。
代償分割が行われた場合、代償財産の価額の算定上、相続税評価額と時価との開差の問題があります。その際に調整計算をすることになります。
次のような調整計算になります
■相続人 甲と乙
■相続財産(土地のみ) 相続税評価額6,000万円、代償分割時の時価8,000万円
■甲は土地を取得する代わりに、相続人乙に対し現金3,000万円を支払った
①甲の課税価格
6,000万円 - 3,000万円 = 3,000万円
②乙の課税価格
3,000万円
このままだと、甲は税負担が軽減されます。乙は加重となります。
したがって、たとえば代償財産(現金3,000万円)の額が、相続財産である土地の代償分割時の時価8,000万円を基に決定された場合には、甲及び乙の課税価格は次のように計算します。
①甲の課税価格
6,000万円 - {3,000万円 × (6,000万円 ÷ 8,000万円)} = 3,750万円
②乙の課税価格
3,000万円 × (6,000万円 ÷ 8,000万円) = 2,250万円
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相続税をわかりやすく!
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金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
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