知っておきたい相続税の障害者税額控除の要件・控除額・対象者~ これならわかる相続税㉒
金曜日は相続税をわかりやすく!
障害者の税額控除とは
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
この控除の趣旨は、財産を取得した者が障害者であるときは、その者の生活保障のため、通常の人と比較して、日常の生活費等を必要とするなどという理由です。
障害者控除を受けられる人
障害者控除が受けられるのは、次のすべてに当てはまる人です。
①相続や遺贈で財産を取得した時に障害者である人
②相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること
③相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人(一時居住者※で、かつ、被相続人が一時居住被相続人※または非居住被相続人である場合を除きます)
障害者控除の計算方法
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。
この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
たとえば、障害者の年齢が28歳5か月であった場合
5か月を切り捨て28歳で計算します。85歳までの年数は57年になります。
したがって、障害者控除額は10万円×57年で570万円となります。
算式は
10万円×(85歳-その者の年齢)
年齢の1年未満は切り捨てます
控除未済額の扶養義務者からの控除
障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。
この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
参考
相続税法基本通達19の4-1
一般障害者の範囲
「一般障害者」とは
①児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターもしくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者のうち重度の知的障害者とされた者以外の者
②精神保健および精神障害者福祉に関する法律により交付を受けた精神障害者保健福祉手帳に障害等級が2級又は3級である者として記載されている者
③身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害の程度が3級から6級までである者として記載されている者
④①、②または③に掲げる者のほか、戦傷病者特別援護法の規定により交付を受けた戦傷病者手帳に記載されている精神上または身体上の障害の程度が次に掲げるものに該当する者
イ 恩給法の別表第1号表の2の第4項症から第6項症までの障害があるもの
ロ 恩給法別表第1号表の3に定める障害があるもの
ハ 傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定したもの
ニ 旧恩給法施行令第31条第1項に定める程度の障害があるもの
⑤常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神または身体の障害の程度が①または③に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
⑥精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者で、精神または身体の障害の程度が①または③に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
同通達19の4-2
特別障害者の範囲
「特別障害者」とは
①精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者または児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターもしくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
②精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級である者として記載されている者
③身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級または2級である者として記載されている者
④①、②または③に掲げる者のほか、戦傷病者手帳に精神上または身体上の障害の程度が恩給法別表第1号表の2の特別項症から第3項症までである者として記載されている者
⑤③および④に掲げる者のほか、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
⑥常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神または身体の障害の程度が①または③に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
⑦精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者で、精神又は身体の障害の程度が①または③に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
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