特定一般社団法人等の理事が亡くなった場合、法人に相続税が課税されます ~ これならわかる相続税⑮
金曜日は相続税をわかりやすく!
以前は、社団法人は株式会社と違い相続税がかかりませんでした。
というのは、社団法人には会社の株式に相当する持ち分が存在しません。
この仕組みを節税に使うケースがありました。スキームとしては、たとえば、親が代表者となって社団法人を設立します。そして、資産を移します。その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を継承しますと、資産には相続税がかからない仕組みです。
そこで特定一般社団法人等に対して相続税が課税されることになりました
ざっくりとは
同族関係者が理事の過半を占めている一般社団法人について、その同族理事の1人が死亡した場合、その法人の財産を対象に、その法人に相続税を課税するという内容です。
特定の一般社団法人等に対する相続税の課税について
特定一般社団法人等の理事である者が死亡した場合には、その特定一般社団法人等が、次の算式により計算した金額に相当する金額を、その被相続人から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税を課税します。
算式 特定一般社団法人等の純資産額 ÷ 死亡時の同族理事+1
特定の一般社団法人等とは、どういう社団法人が対象というと(次のいずれかを満たす法人)
■相続開始の直前におけるその被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が2分の1を超える
■相続開始前5年以内において、その被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上
同族理事とは
一般社団法人等の理事のうち、被相続人またはその配偶者、三親等内の親族その他のその被相続人と特殊の関係のある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)をいいます。
2つのポイント(贈与税額控除と経過措置)
①特定一般社団法人等に相続税が課税される場合には、その相続税から、贈与等により取得した財産について既にその特定一般社団法人等に課税された贈与税等の額が控除されます。
②平成30年4月1日以後の理事の死亡の相続税について適用されます。ただし、同日前に設立された一般社団法人等については平成33年4月1日以後の理事の死亡に係る相続税に適用されます。
このスキームを実行していた場合には、同族理事の数が2分の1を超えないような割合(逆にいうと2分の1以内)になるようにしないと特定一般社団法人に該当し、相続税が課税されます。
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金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
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