遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります~相続税をわかりやすく㉑
金曜日は相続税をわかりやすく。
民法(相続法)が改正され、「相続の効力等」が見直しされています
遺言によって相続財産を取得した場合には
法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができなくなります
これだけでは何のことかイメージがわかないですよね。
たとえば、
被相続人(父親)には、長男と次男の相続人がいました
■死亡した父親の遺産は、自宅の建物と土地のみ(評価額:1000万円)ですが、父親には銀行からの借入金が1,000万円あったとします。
■借入金(いわゆる借金)は相続されますので、法定相続分により、1,000万円×1/2=500万円ずつ長男と次男が相続し、返済する必要があります。
■通常であれば1,000万円の自宅を売却して、借金を返済します。
■しかし、父親は遺言により1,000万円の自宅を長男に遺贈しました。
そうなると、現行制度では、長男と次男から各々500万円を回収しようと自宅の差し押さえをしようとした銀行は、長男から回収はできますが、相続していない次男からは回収できません。したがって貸付金の半分(次男分)500万円は回収できません。
遺言の有無および内容を知り得ない銀行にとって不利な状況が生まれていました。
こうした事例では見直しにより
銀行が先に自宅を差し押さえるよう登記すれば、「長男に自宅を相続させる」という父親の遺言は優先されないようになります。
銀行は長男・次男から各々500万円を差押さえることができ、1,000万円を回収することができるようになります。
つまり相続させる旨の遺言についても
法定相続分を超える部分については,登記等の対抗要件を具備しなければ、債務者・第三者に対抗することができなくなります。
この見直しは、遺言の有無および内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保して、登記制度への信頼に応えようとするものです。
(図の出所:「法務省資料」より)
注意したい点は
相続登記を行わないうちに、相続人のうちの1人の債権者が不動産を差し押さえたら、遺言により不動産を承継した相続人は権利を主張できないことになります。
相続が発生したら早期に名義変更の登記を行う必要があります。
相続税の問題や将来の相続の問題のご相談をお伺いしております(初回は無料です)。
問題をお伺いしたうえで、税務の専門家として、丁寧にアドバイスさせていただきます。
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください!
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
「相続税をわかりやすく!」の記事は
http://www.y-itax.com/category/souzoku/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。