法務局による自筆証書遺言の保管制度ができます(遺言書保管法)紛失等の課題に対応~相続税をわかりやすく⑮
民法(相続法)が改正されます。
あわせて「遺言書保管法」(法務局における遺言書の保管等に関する法律)が平成30年7月6日に成立しています
自筆証書遺言書は自宅で保管されることが多く、紛失等の課題がありました
・遺言書が紛失・亡失するおそれがあります。
・相続人により遺言書の廃棄、隠匿、改ざんが行われるおそれがあります。
・これらの問題により、相続をめぐる紛争が生じるおそれがあります。
課題に対応するため「法務局で遺言書を保管する制度」を創設したというものです
この制度には次のようなメリットがあります。
・全国一律にサービスを提供することができます。
・遺言者のプライバシーを確保することができます。
・相続登記の促進につなげることができます。
法務局で自筆証書遺言書を保管する制度
次のような制度です。
(出所:法務局「遺言書保管法の概要」資料)
まず遺言書の保管を申請します
■保管申請の対象は、自筆証書遺言に係る遺言書のみです
■遺言書は、法務省令で定める様式(別途定める予定です)で作成されたものでなければなりません。
■遺言書の保管の申請は,遺言者の住所地・本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局にします。
■遺言者が自ら法務局に足を運ぶ必要があります。その際、申請人が本人であるかどうかの確認をします
「遺言書保管官」による遺言書の保管
■保管の申請がされた遺言書については,遺言書保管官※が,遺言書保管所の施設内において原本を保管します。
■併せて、その画像情報等の遺言書に係る情報を管理します。
※ 法務局のうち法務大臣の指定する法務局(遺言書保管所)において,遺言書保管官として指定された法務事務官のことです。
遺言者による遺言書の閲覧,保管の申請の撤回
■遺言者は,保管されている遺言書について、その閲覧を請求することができます。
■遺言者の生存中は、遺言者以外の方は、遺言書の閲覧等を行うことはできません。
■遺言書の保管の申請を撤回することができます。
■保管の申請が撤回されると、遺言書保管官は、遺言者に遺言書を返還するとともに遺言書に係る情報を消去します
遺言書の保管の有無の照会および相続人等による証明書の請求等
■特定の死亡している者について、自己(請求者)が相続人、受遺者等となっている遺言書が遺言書保管所に保管されているかどうかを証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。
■遺言者の相続人等は、遺言者の死亡後、遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付請求および遺言書原本の閲覧請求をすることができます。
■遺言書保管官は、遺言書情報証明書を交付しまたは相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは、速やかに、当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人等に通知します。
遺言書の検認の適用除外
遺言書保管所に保管されている遺言書については, 遺言書の検認は不要です。
手数料が必要になります
遺言書の保管の申請、遺言書の閲覧請求、遺言書情報証明書または遺言書保管事実証明書の交付の請求をするには、手数料を納める必要があります。
法律は公布されましたが、遺言書保管法の施行期日は,今後政令で定められることになります。
公布の日から2年以内に施行されることとされています。
したがって、現在のところ法務局に対して遺言書の保管を申請することはできません。
今後、自筆証書遺言の利用の増加が見込まれますが、どのように利用が広まるか注視しています。
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相続税をわかりやすく!
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