遺言書があっても遺留分を侵害していることがあります。相続人によって最低の取り分が保証されています。~相続税をわかりやすく④
金曜日は相続税をわかりやすく紹介しています。
今回は4回目。
遺言があっても特定の相続人や受遺者に財産が偏ると、遺留分(いりゅうぶん)のトラブルが予想されます
遺留分があるのは配偶者、子ども、直系尊属。兄弟姉妹に遺留分はありません。
具体例でいいますと
Nさんは、両親を早くに亡くしました。
子どもの頃から、姉に親同然に育ててもらいました。その姉は一人暮らし。その感謝を込めて、財産の4分の1を姉に残したいと考えて、遺言書を作成しました。
その後、Nさんが突然に亡くなりました。
遺言書:有り
法定相続人:配偶者、長男、次男
遺言書で指定された分割割合
Nさんの配偶者 8/16 長男3/16 次男1/16 姉(おば)4/16
親族図は下図のとおり
下の図をみていただくと、次男の遺留分が侵害されています
そもそも姉(おば)は相続人ではありませんので、相続人の取り分がすくなくなってしまいました。次男だけ遺留分に達していませんでした。遺留分を侵害されたのは次男です。
次男は、最低の取り分(遺留分)が侵害されているため、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)を行うことができます。
相続人が最低限受け取ることのできる権利(財産)が遺留分です。
ただし、遺留分を有する相続人は、配偶者、子、直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合は次のように定められています
① 直系尊属のみが相続人であるときは、3分の1
② その他の場合は、2分の1
※ この場合の遺留分を総体的遺留分といいます。個別的遺留分は、総体的遺留分を法定相続分で配分した割合になります。相続人の組み合わせにより遺留分は相違します。
具体例の遺留分の計算は
配偶者1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)=1/4
長 男1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)×1/2(長男分)=1/8
次 男1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)×1/2(次男分)=1/8
しわ寄せを受けた次男は遺留分の減殺請求を行うことができます
この遺留分減殺の請求権は、父親が亡くなった後に、遺留分が侵害されている贈与や遺贈があったことを知ってから1年以内です。なお、父親の死亡の日から10年を経過すれば、遺留分減殺請求権は消滅します。
遺言を作成するときは遺留分を侵害するような遺言ではなく、遺留分に配慮した遺言を作成するように心配りが必要です。
Every day is a new day!
今日も初夏の1日を元気にお過ごしください!
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
相続した実家が「空き家」だった場合
② 相続税の取得費加算の特例適用を使えるかどうかを検討します。
③ 空き家売却の3,000万円控除を使えるかどうかを検討します。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
空き家売却の3,000万円の特別控除(間違いやすい点)
② 更地で売却の場合、譲渡までに家屋を壊していることが必要です
③ 分割して何度かに分けて売却しても、トータルで1億円判定します。
④ 敷地が被相続人と相続人との共有になっている場合、1億円の判定はこうかんがえます。
⑤ 被相続人しか住んでいなかったという証拠などが必要になります。
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
「相続税をわかりやすく!」の記事は
http://www.y-itax.com/category/souzoku/
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