「更地にして売る場合は、譲渡の時までに家屋を壊していることが必要です」~空き家売却の3,000万円特別控除(間違いやすい点②)
金曜日は、相続税をわかりやすく紹介しています。
相続した実家について、「空き家売却3,000万円の特別控除」を適用する場合に、間違いやすいポイントを紹介します。
今回は
「更地にして売る場合は、譲渡の時までに家屋を壊していることが必要です」
です。
この特別控除の適用を受けるための空き家の要件(ざっくりと)
① マンションは該当しません。
② 昭和56年5月31日以前に建築された家屋・その敷地であること。
③ 亡くなった人が一人暮らしをしていた家屋であること。
④ 相続開始の日から3年後の12月31日までに売却すること(亡くなってから他の人が住んだり、または貸し付け等をしていないこと)
④ 家屋を取り壊した後に土地を売却する、または家屋を新耐震基準にリフォームして売却すること。
家屋を取り壊した後に、土地を売却する場合に気をつけるべき点は
「譲渡のときまでに家屋を取り壊していること」※が必要です。
業者の都合などの理由により譲渡の日の後に、家屋が取り壊されていないようにくれぐれも気をつけてください。
時系列で考えると次のような日付になります。
建物取壊日 → 取壊費用の支払日 → 土地の譲渡日
※ <参考> 措置法第35条第3項
「相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること」
土地の譲渡日などの日付をチェックする必要があります
申告にあたって、土地を譲渡した場合には「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」を添付することになっています。各々の日付を記載することになっていますので、日付の精査が必要になります。
税法では売却日を納税者が選択できますので、それを上手に活用します
土地・建物の売買取引は、手付金を受け取って契約し(契約日)、残金を受け取って引き渡しをします(引渡日)、そして登記を済ませて完了します。契約日、引渡日、どちらを選んでもかまいません。※
※ <参考> 所得税基本通達36-12
(譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)
「譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の譲渡により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める」
空き家売却の3,000万円控除制度は、適用要件が細かく決まっています。
適用にあたっては、充分に気をつけて利用されることをおすすめします。
相続税に関することで気になることがあれば、電話やメールでお気軽にご相談ください。
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みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
空き家売却の3,000万円の特別控除
・①「家と土地をセットで相続により取得することが大前提」はこちら(4/13)
相続した実家が「空き家」だった場合
・①「不動産売却時には三つの優遇制度があります」はこちら(3/23)
・②「相続税の取得費加算の特例適用を使えるかどうかを検討する」はこちら(3/30)
・③「空き家売却の3,000万円控除を使えるかどうかを検討する」はこちら(4/6)
相続税の三原則は次のとおり
・「相続税の節税の三原則~生前贈与と制度をフルに活用します」はこちら(12/8)
・「三原則のひとつ~不動産を活用する。お金をモノに換えておく」はこちら(12/15)
・「お金をモノに換えておく。小規模宅地等の減額特例」はこちら(12/22)
・「誰が相続するかにより評価額が変わります」はこちら(12/29)
・「小規模宅地等の減額特例~二世帯住宅は登記に注意」はこちら(1/5)
・「空き地を活用してアパートを建てるスキームとは」はこちら(1/12)
・「減額特例は老人ホームに入居した場合には適用がありますか?」はこちら(1/19)
・「制度を活用する!~生命保険のメリット」はこちら(1/26)
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・「生命保険金を活用する~保険料を支払っていた人は誰ですかに注意」はこちら(2/9)
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・「債務も財産です。債務は相続財産から差し引きます」はこちら(2/23)
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