遺言書があっても、遺言書に関係なく、相続人全員合意があれば相続することができます!
金曜日は、相続税や贈与税について紹介しています。
前々回、前回と“争続”トラブルを回避のために、遺言書作成の大切さを紹介してきました。遺言書があれば、残された方の多くは、遺産分割が多少不満でも故人の遺志に反してまで争おうとしないからでした。
しかし、遺言書どおりに相続されない場合もあります。
意外と知られていないのですが、遺言書に書いてある財産を相続する人が法定相続人だけの場合に、法定相続人全員の合意があれば、遺言と異なる分け方で相続することができます。
例えば、「配偶者:山田花子に現金、長男:山田太郎に自宅、次男:山田次郎に株式」と遺言書に書いてあった場合、3人の遺族が「花子に自宅、太郎は株式、次郎は現金」を希望した場合には、3人が合意して遺産分割協議書を作成すれば、遺言内容と異なる遺産分割は可能です。
3人全員が合意して、遺産分割協議書の作成をすれば思いどおりに相続できます。
相続財産の分割方法は、次の4つのパターンになります。
① 遺言書
遺言書どおりに全ての財産を分割する。
② 遺言書+遺産分割協議書
遺言書に記載がある財産は遺言書どおりに分割。記載がない財産は相続人間で分割協議をして財産を分割する。
③ 遺産分割協議書(遺言書有り)
遺言書があるケースで、遺言書に関係なく相続人間で分割協議して財産を分割する。
④ 遺産分割協議書(遺言書なし)
遺言書がないケースで、遺言書に関係なく相続人間で分割協議して財産を分割する。
さきに紹介した「遺言書があっても、遺言書に関係なく、相続人全員合意があれば相続することができます」は③のパターンに該当します。
なぜ、③のようなことができるのでしょうか?「理屈」を説明しますと
「相続人と受遺者の全員の同意があれば、遺言内容と異なる遺産分割が可能です。遺言は、遺言者の死亡の時に効力が生じます(民985①)、一方で民法は、受遺者に対し相続開始後の遺贈の放棄を認めています(民986①)。」
「したがって、遺言と異なる遺産分割は、受遺者がいったん遺贈の放棄をし、その後に相続人間で分割協議をした考えることができるわけです」
「ただし、遺言執行者がいる場合は、相続人と受遺者は遺言執行者を加えた上で、遺産分割協議を行うべきでしょう」
(出所「遺産分割の手続と相続税実務(七訂版)」:小池正明、税務研究会)
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