相続発生後の相続財産の調査と「所有不動産記録証明書」について 相続法の改正 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[149]
相続法・不動産登記法の改正に関する記事です。
今回は
相続発生後の相続財産調査と「所有不動産記録証明制度」の活用について
を紹介します。
現在、実務での被相続人の遺産(不動産)の把握については
次のような資料で対象を確定します。
① 固定資産税の評価証明書
② 固定資産税の名寄帳(市町村ごとに所有物件の明細を確認するためのものです)
③ 被相続人の所得税の確定申告書
④ 賃貸借契約書など
⑤ 過去に被相続人が相続税の申告している場合は、相続税申告書
そのほか収集する資料としては、次のようなものがあります
・ 登記全部事項証明書(土地・建物)
• 公図、地番図
• 地積測量図、建物図面・各階平面図
• 住宅地図
• 倍率表、路線価図 など
一方、不動産登記法の改正により「所有不動産記録証明制度」が創設されます
この制度は、現時点ではまだ実際に利用することはできません。令和8年4月までにスタートします。
制度の趣旨は、は相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記の申請者の手続的負担を軽減するものです。
また、登記漏れを防止する観点から、登記官において、被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産(そのような不動産がない場合には、その旨。)を一覧的にリスト化し、証明する制度です。
<参考>
→ 所有不動産記録証明制度とは。特定の名義人が所有する不動産の登記内容を証明した書類の交付を法務局に請求できるようになります
この制度の詳細は未定ですが、実務上の留意点は次のとおりです
「 もっとも、所有不動産記録証明制度は、あくまで登記記録の電子データ上、検索キーに一致した者が存することについての証明であって、対象者が真に所有権者であることを証明するものではなく、請求された対象者が登記名義人となっている不動産を完全に網羅して証明するものではない点には留意が必要です。」
「 そのため、相続財産の調査・整理にあたっては、 改正法施行後も引き続きこれまでの名寄帳などの資料を併用しながら、過不足がないかを精査する必要があります。」
(出所:「民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」弁護士:荒井達也)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日、元気にお過ごしくださいね!
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