相続土地国庫帰属法が利用できる「いらない土地」と相続税で物納できない土地はよく似ています 相続法の改正 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[148]
相続法の改正に関する記事です。
今回は
相続税をお金で支払えないので、代わりに土地で相続税を支払うという「物納」制度。どんな土地でも物納できるわけではありません
を紹介します。
相続土地国庫帰属法の施行は令和5年4月27日です
前回の記事では、「相続土地国庫帰属法が利用できる土地」とは、どのようなものかをご説明しました。
<参考>
→ 相続しても困る「いらない土地」の解決方法。相続土地国庫帰属法が利用できる土地とは
物納不可という不動産と相続土地国庫帰属法が利用できる不動産の要件がよく似ています。
「物納不可の不動産」は次のような不動産です
つまり、次のような不動産は物納できません。
① 担保権の設定の登記がされていることその他これに準ずる事情がある不動産
② 権利の帰属について争いがある不動産
③ 境界が明らかでない土地
④ 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産
⑤ 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条(公道に至るための他の土地の通行権)の規定による通行権の内容が明確でないもの
⑥ 借地権の目的となっている土地で、その借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
⑦ 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含みます。)と社会通念上一体として利用されている不動産もしくは利用されるべき不動産または二以上の者の共有に属する不動産
⑧ 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいいます。)を経過している建物(通常の使用ができるものを除きます。)
⑧ 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産(申請者において清算することを確認できる場合を除きます。)
⑨ その管理または処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産
⑨ 公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
⑨ 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産
⑩ 地上権、永小作権、賃借権その他の使用および収益を目的とする権利が設定されている不動産で暴力団員等がその権利を有しているもの
現在、相続税で物納制度を利用することはほとんどありません
たとえば次のような利用状況です。
平成14年度 物納申請 5,708件 → 令和3年度 物納申請 63件
(出所:国税庁HP 相続税の物納処理状況等)
相続税で物納を利用するルールは次のようになっています。すべての要件を満たす必要があります
① 税務署長の許可を受けて行うこと。
② 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があること。
③ 納付を困難とする金額を限度であること。
④ 物納申請財産が法定された種類の財産であり、一定の順位に従っていること。
⑤ 物納適格財産であること。
⑥ 所定の期限までに物納申請が行われていること。
ハードルは高くなっています。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日、元気にお過ごしくださいね!
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