登記権利者の単独申請で可能となる「所有権以外の権利に関する登記の抹消」など 不動産登記法の改正 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[141]
不動産登記法の改正に関する記事です。
今回は
「買戻しの特約に関する登記」や「地上権などまたは買戻しの特約に関する登記」について、登記権利者の単独申請で可能となります
を紹介します。
登記義務者の所在がわからないことにより、次のような現状となっています
① 所有権以外の権利について、たとえば、登記された存続期間が満了している地上権等の権利や、買戻しの期間が経過している買戻しの特約など、すでにその権利が実体的には消滅しているにもかかわらず、その登記が抹消されることなく放置されています。権利者(登記義務者)が不明となることにより、その抹消に手間やコストを要するケースがあります。
② 現在の不動産登記法には登記義務者の所在が不明である場合、登記の抹消についての特例がありますが、しかし、手続的な負担が重いなどの理由で活用がされていないという実情があります。
次のような課題があります
登記義務者の所在が分からない場合において、より簡便に、所有権以外の権利に関する登記の抹消を可能とする仕組みが必要とされています。
課題解消のため次の2つの仕組みが始まります。
買戻し登記の抹消手続きの簡便化について
買戻しの特約に関する登記がされている場合において、その買戻しの特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、実体法上その期間が延長されている余地はありません。したがって登記権利者(売買契約の買主)単独でのその登記の抹消を可能とします。
これは登記義務者が所在不明であることは要件とされていません。
次のようなイメージです。
地上権・永小作権・質権・賃借権・採石権・買戻しの特約に関する登記について
登記された存続期間や買戻しの期間が既に満了している場合、所定の調査方法によっても権利者(登記義務者)の所在が判明しないときは、登記権利者単独での登記の抹消を可能とします。
次のようなイメージです。
この制度は令和5年4月に施行されます。
<参考>
令和6年4月1日から、所有者不明土地の発生予防のため相続登記の義務化と相続人申告登記が新設されます。そのため不動産登記法が改正されます。
→ 相続登記がされていない所有者不明土地に対応する不動産登記法の改正
(出所:法務省民事局HP 令和3年不動産登記法改正、「民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」弁護士:荒井達也)
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