職権による住所などの変更登記制度が始まります(個人の場合)不動産登記法の改正 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[138]
不動産登記法の改正に関する記事です。
今回は
登記官が住基ネットから取得した情報により職権で変更登記をする制度が始まります。個人の場合は本人の了解がある場合に限ります
を紹介します。
令和6年4月1日から、所有者不明土地の発生予防のため相続登記の義務化と相続人申告登記が新設されます。そのため不動産登記法が改正されます。
<参考>
→ 相続登記がされていない所有者不明土地に対応する不動産登記法の改正
しかし、次のような課題があります
所有権の登記名義人が住所を変更しても、次のような理由で住所変更の登記がされません。
① 住所変更登記の申請は任意です。また変更をしなくても大きな不利益はありません。
② 所有する不動産について、転居の度に変更登記をするのはかなり負担となります。
都会では、住所変更登記がされないことが所有者不明土地の主な原因となっています。
そこで住所変更登記の義務化が始まります
所有権の登記名義人に対し、住所の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付けます。
「正当な理由」がないのに申請をしなかった場合には、5万円以下の過料を支払うことになります。
一方、登記官が住基ネットから取得した情報により職権で変更登記をする方法がとられます
個人と法人で違います。
個人の場合は次のとおりです
住民基本台帳制度の趣旨を考慮して、本人による「申出」があるときに限ります。
① 登記名義人から、あらかじめ、その氏名・住所のほか、生年月日の「検索用情報」の提供を受けます。イメージは次のとおりです。
② 検索用情報等を検索キーとして、法務局で定期的に住基ネットに照会をして、所有権の登記名義人の氏名・住所の異動情報を取得することにより、住所の変更の有無を確認します。
イメージは次のとおりです。
③ 住所の変更があったときは、法務局から所有権の登記名義人に対し、住所の変更登記をすることについて確認を行います。その了解を得たときに、登記官が職権により変更の登記をします。これで登記申請義務は履行したことになります。
ただし
最新の住所を公示することに支障がある方(DV被害者など)については、プライバシー保護の観点から、法務局が所有権の登記名義人に変更登記をすることについて確認を行います。その了解を得た時に、登記官が職権で変更登記をします。
施行日前に住所変更が発生していたケースについても、登記の申請義務があります
この制度は令和8年4月までに施行されます。
(出所:法務省民事局HP 令和3年不動産登記法改正)
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