所有不動産記録証明制度とは。特定の名義人が所有する不動産の登記内容を証明した書類の交付を法務局に請求できるようになります。不動産登記法の改正 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[135]
資産税に関する記事です。
今回は
被相続人が所有している不動産と相続する不動産をすべて把握することができ、相続人の相続した不動産の登記漏れがなくなります。所有者不明土地のための不動産登記法の改正
を紹介します。
令和6年4月1日から、所有者不明土地の発生予防のため相続登記の義務化と相続人申告登記が新設されます。そのため不動産登記法が改正されます。
<参考>
→ 相続登記がされていない所有者不明土地に対応する不動産登記法の改正
相続登記の申請義務とは
相続や遺贈により不動産を取得した相続人に対し、相続の開始があったことを知り、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならないというルールです。
一方、次のような問題があります。
不動産について所有者ごとの名寄せの仕組はありません
現在の不動産登記法では、登記記録は、土地や建物ごとに作成されておいます。全国の不動産から特定の者が所有権の登記名義人となっているものを網羅的に抽出して、その結果を公開する仕組みはありません。
その結果、所有権の登記名義人が死亡した場合に、その所有する不動産としてどのようなものがあるかについて相続人は把握しきれません。
見逃された土地について相続登記がされないまま放置されてしまう状況があります。
そのため次のような制度ができます(所有不動産記録証明制度)
相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記の申請者の手続的負担を軽減します。
また、登記漏れを防止する観点から、登記官において、被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産(そのような不動産がない場合には、その旨。)を一覧的にリスト化し、証明する制度を新設します。
所有不動産記録証明書の交付請求ができる方は
特定の者が登記名義人となっている不動産を一覧的に把握するニーズは、個人・法人を問わずありますが、しかし、その請求範囲は次のとおり限られています。
① 登記名義人は自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明書の交付請求ができます。
② 相続人その他の一般承継人は、被相続人その他の被承継人に係る証明書について交付請求が可能です。
所有不動産記録証明制度のメリットは
名寄帳は市町村単位です。一方、所有不動産記録証明書は、特定の名義人の“すべての所有不動産”を一覧で示してくれるため、相続人が不動産の全容を把握しやすくなります。
手数料は必要となりますが、特定の者が名義人となっている不動産の登記情報の一覧を、登記官が証明書(所有不動産記録証明書)として発行します。
この制度は令和3年の不動産登記法の改正により創設された制度です。
現時点ではまだ実際に利用することはできません。令和8年4月までにスタートします。
(出所:法務省民事局HP 令和3年不動産登記法改正)
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