いったん成立した遺産分割についてやり直しをした場合、贈与税の課税はどうなるのでしょうか? ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[87]
資産税に関する記事です。
今回は
いったん成立した遺産分割についてやり直しをした場合、贈与税の課税はどうなるのでしょうか?
を紹介します。
遺産分割をやり直して相続財産の再分配が行われた場合
その再分配によって取得した財産は、原則として、遺産分割により取得したことにはならず、それぞれ相続人に帰属した固有財産を無償で取得したとして贈与税の課税対象になります。
<参考>
相続税法1条の4 贈与税の納税義務者
「次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、贈与税を納める義務がある。
一 贈与により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
イ 一時居住者でない個人
ロ 一時居住者である個人(当該贈与をした者が外国人贈与者又は非居住贈与者である場合を除く。)(略)」
相続税法基本通達19の2-8 分割の意義
「(略)『分割』とは、相続開始後において相続又は包括遺贈により取得した財産を現実に共同相続人又は包括受遺者に分属させることをいい、その分割の方法が現物分割、代償分割若しくは換価分割であるか、またその分割の手続が協議、調停若しくは審判による分割であるかを問わないのであるから留意する。
ただし、当初の分割により共同相続人又は包括受遺者に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。」
遺産分割の遡及効により、相続人は分割により取得した財産を相続時開始時から所有しているものとみなされます
したがって、遺産分割のやり直しは、新たな所有権の移転と考えられます。
<参考>
民法909条 遺産の分割の効力
「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」
しかし、次のような当初の遺産分割が無効である場合は、初めから分割が行われていないことになります。その後の遺産分割はやり直しとちがいます
1 相続権のある胎児を除いて、行われた遺産分割
2 行方不明の相続人がいるもかかわらず、財産管理人を選任しないで、行われた遺産分割
3 共同相続人や包括受遺者でない方が加わって行われた遺産分割
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日を元気にお過ごしください。
【編集後記】
トップ画像は樅山奈実さんの「+R」から。(ご本人の承諾を得ています)
昨日のTV「土曜プレミアム細かすぎて伝わらないモノマネ超豪華SP」を見ていました。
「スイングした後にカタカナの『ス』になっている佐藤輝明選手」に爆笑です。
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