「換価遺言」遺言執行者により相続財産の換価処分が行われた場合の相続税の取り扱い ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[85]
資産税に関する記事です。
今回は
遺言執行者が遺贈者の遺言の内容に沿って、遺産の一部分配と現物分配を行った場合の相続税の取り扱い
を紹介します。
遺言執行者が行った行為は相続人に帰属します
遺言執行者が行った換価処分は、相続開始により相続人に帰属した相続財産の処分の代理行為となります。
<参考>
民法1015条 遺言執行者の行為の効果
「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる」
相続人の相続税の課税価格の計算について
相続人の相続税の課税価格は、相続開始により相続人に帰属した財産を、換価前の相続税評価額で評価したうえで、この評価額を換価代金の比率により配分した金額を基礎として計算します。
つまり、金銭の額そのままではなく、換価財産の相続税評価額と金銭の額との圧縮計算を行うことになります。
<参考>
第11条の2 相続税の課税価格
「相続又は遺贈により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、その者については、当該相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額をもつて、相続税の課税価格とする」
換価した資産について譲渡所得が発生します
相続人に対して換価処分された金額のうち、配分された譲渡代金に沿って所得税が課税されます。
譲渡所得は、受遺者(相続人)に帰属し、受遺者(相続人)が納税義務者になります。
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を適用できます
<参考>
租税特別措置法 第39条 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
「相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合における譲渡所得に係る所得税法第33条第3項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。」
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