遺贈された財産を放棄して相続人間で遺産を分割する場合 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[84]
資産税に関する記事です。
今回は
遺贈を放棄した受遺者は、その財産を無償で譲ったことになるのでしょうか?
を紹介します。
たとえば
被相続人には預貯金5千万円、不動産1億円、株式5千万円の遺産がありました。
これらのうち、預貯金と不動産は配偶者に遺贈し、株式を子ども(息子2人)で分割するような遺言があった場合、息子たちがそのような遺贈に異議をとなえたとき。
相続人が遺贈の放棄をして、相続人の間で分割協議を行う場合は
遺贈の放棄をした相続人は、その財産を無償で譲ったことになるのでしょうか。一方、相続人は遺贈の放棄をした者から財産の贈与を受けたことになるのでしょうか。
放棄によりその効果は相続開始時まで訴求して生じます
つまり、遺贈の放棄というのは、取得する前に放棄してその遺贈財産を貰わないことです。
その遺贈財産は受遺者に帰属することなく、相続財産として当初の遺産分割対象財産になります。
遺贈の放棄があった場合には、遺贈財産が相続人への贈与とはなりません。一方、相続人が受遺者から贈与を受けたことにも成りません。
遺贈財産は分割対象財産となります
遺贈の放棄された財産を含めた全財産について分割協議することになります。そして相続人全員がその未分割財産についてあらためて協議分割を成立させます。
協議分割は共同相続人全員の合意が必要です。
協議分割により取得した財産が相続税の課税価格の対象となります。
<参考>
遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税
(タックスアンサー NO4176)
「特定の相続人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当です。したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなります。
なお、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはなりません。」
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