遺言で相続人でない孫に賃貸不動産を遺贈しますが、賃貸不動産には借入金の負担がついています。負担付き遺贈の考え方 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[82]
相続税に関する記事です。
今回は
賃貸不動産を遺贈するが借入金の返済が条件となっている負担付き遺贈の考え方
を紹介します。
相続税の取り扱いのルールは次のとおりです
たとえば
賃貸不動産の相続税評価額:3,000万円
借入金残高:1,000万円
の場合
孫(受遺者)は遺贈により財産を取得したので相続税の納税義務者となります。
孫が取得する相続税の課税価格は3,000万円-1,000万円=2,000万円です。
<参考>
相続税法基本通達11の2-7
負担付遺贈があった場合の課税価格の計算
「負担付遺贈により取得した財産の価額は、負担がないものとした場合における当該財産の価額から当該負担額(当該遺贈のあった時において確実と認められる金額に限る。)を控除した価額によるものとする。」
譲渡所得が発生します。この場合の所得税の取り扱いのルールは次のとおりです
孫に対する負担付遺贈は特定遺贈になります。被相続人(遺言者)に譲渡所得が発生します。
先の例で賃貸不動産の取得価額が400万円である場合、1,000万円-400万円=600万円の譲渡所得が発生します。
遺贈者に生ずる譲渡所得ですので準確定申告が必要となります。
ただし、その際に課税される所得税は相続税の債務控除の対象となります。
<参考>
所得税基本通達33-1の5
代償分割による資産の移転
「遺産の代償分割(現物による遺産の分割に代え共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させる方法により行う遺産の分割をいう。以下同じ。)により負担した債務が資産の移転を要するものである場合において、その履行として当該資産の移転があったときは、その履行をした者は、その履行をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。」
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
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