令和2年7月から開始した法務局自筆証書遺言書保管制度で、知っておきたい2種類の通知 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[77]
相続税に関する記事です。
今回は
自筆証書遺言書保管制度の2種類の通知「関係遺言書保管通知」と「死亡時通知」について
を紹介します。
作成した遺言が相続人に発見してもらえないというデメリットが、遺言書保管制度を利用することで解消することができます。
新たに始まった自筆証書遺言書保管制度とは
法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度は、遺言者が自筆で作る遺言を法務局に預け、画像データ化して保管する制度です。
メリットは次のとおりです。
1 法務局で遺言を保管します。
2 遺言者が亡くなった際に、相続人に遺言の保管されている旨が通知されます。
3 家庭裁判所の検認手続が不要です。
自筆証書遺言保管制度の手続きは次のとおりです
(出所:法務省HP)
このうち、「遺言者が亡くなった際に、相続人に遺言の保管されている旨が通知」の手続きは次の2種類があります。
1 関係遺言書保管通知
2 死亡時通知
1 関係遺言書保管通知とは
遺言書保管所に保管されている遺言書について、遺言者死亡後、関係相続人が①遺言書の閲覧、②遺言書情報証明書の交付を受けたときすべての関係相続人に対して、法務局の遺言書保管官が、遺言書が遺言書保管所に保管されていることを伝えるものです。
通知の効果
通知により、すべての関係相続人に遺言書が保管されていることが伝わります。
通知の手続
遺言者、関係相続人は特段の手続は不要です。
通知の留意点
相続人が遺言者の遺言書の閲覧をしたことにより、遺言書保管官が遺言者が死亡したことを確認できるため、その他の相続人に伝えることが可能となるため通知するものです。
しかし、遺言者死亡後であっても、相続人が遺言書の閲覧等をしなければ、通知はされません。
2 死亡時通知とは
戸籍担当部局と連携して遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、あらかじめ遺言者が指定した方1名に対して、遺言書が保管されている旨を伝えるものです。
通知は遺言者が希望する場合に実施されます。
(また、遺言書保管事実証明書の交付時にも死亡時通知が実施されます。)
通知の効果
遺言者が遺言書を遺言書保管所に保管していることを一切誰にも伝えないまま亡くなった場合でも、この死亡時通知を受領した方にその事実が伝わります。
その方が遺言書の閲覧等を行うことにより、関係遺言書保管通知によって、その他すべての相続人に、遺言書が保管されていることが通知されます。
通知の手続
遺言者は遺言書の保管の申請時に、一定の様式により、同意事項に同意し,死亡時通知の対象者1名を指定する必要があります。
対象者は遺言者の推定相続人ならびに遺言書に記載した受遺者などの中から選択します。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日を朗らかにお過ごしください。
【編集後記】
トップ画像は自宅で作ったアヒージョです。
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