遺産分割の前にした財産の処分と、その後の遺産分割の取り扱いについて~ 贈与や相続・譲渡など資産税[74]
相続税に関する記事です。
今回は
遺産の分割ができない状態が続いていたが、相続税の支払いのため遺産のうち一部の土地を処分した場合、その後の相続税の取り扱いについて
を紹介します。
遺産分割前にした財産の処分について
相続が開始して遺産分割を行うまで長期間にわたり、遺産を整理、債務の支払い、相続税の申告や納付のため、遺産分割前に相続財産の一部を処分せざる得ないことがあります。
このような遺産の一部の処分については
共同相続人は、その全員の同意により、その処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなして、その後の遺産分割をすることができることとされています。
<参考>
民法962条の2
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
相続税の期限内申告書の提出期限において遺産の一部が分割されて、その他の財産が未分割である場合
どちらも含めて相続税の課税価格を計算して、相続税の課税が行われます。
<参考>
相続税法第55条
(未分割遺産に対する課税)
相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合、相続により取得した財産の全部または一部が共同相続人によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人が民法の規定による相続分の割合に従つて、財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。
相続税法第11条の2
(相続税の課税価格)
相続又は遺贈により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、その者については、当該相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額をもつて、相続税の課税価格とする。
相続税の申告は相続財産が分割されていない場合であっても
相続税の申告期限が延びることはありません。
また、未分割遺産については小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減などの特例の適用を受けることができない申告になります。
一部分割により処分した財産については
共同相続人の全員の合意により、一部分割財産を遺産に含めて遺産分割をすることになります。
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