第2次相続の際、配偶者居住権の消滅を利用した配偶者居住権の節税スキーム ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[68]
相続税に関する記事です。
今回は
配偶者居住権を使って、第1次相続と第2次相続を合わせて相続税を軽減するスキーム
を紹介します。
たとえば、夫の死亡(第1次相続)時に、妻が自宅の配偶者居住権と預貯金をすべて相続します。子どもは自宅の土地・建物の所有権を相続します
その後、母親の死亡(第2次相続)時に、母親の財産を子どもが相続します。その際、配偶者居住権は母親死亡時に消滅するため相続対象になりません。
そのため、2次相続で子どもにかかる相続税が、配偶者居住権を使わなかったケースより、減額できるというスキームです。
子が母親の法定相続分の2分の1、あるいは1億6千万円までの配偶者の非課税枠を子供が利用したことになるというものです。
具体的には、単純化すれば次のようなイメージのスキームです。
父親死亡時 第1次相続の相続財産は次のとおり(相続人は母親、子供1人)
居宅の敷地:150,000千円
建物 : 4,000千円
預貯金 : 26,000千円
① 配偶者居住権を使わないケース
父親の死亡時(1次相続)には母親がすべて相続し、母親の死亡時(2次相続)に子供が相続します。
1次相続の相続税額: 0千円
2次相続の相続税額:40,600千円
1次2次の税額合計:40,600千円
②配偶者居住権を使うケース
父親の死亡時(1次相続)には母親は配偶者居住権と敷地利用権、預貯金を相続し、子供は土地建物の所有権を相続。母親の死亡時に母親の財産を子供が相続します。
1次相続の相続税額:10,600千円
2次相続の相続税額: 0千円
1次2次の税額合計:10,600千円
ただし、2次相続時の財産(母親の財産)額は父親からの相続財産と同じと仮定します。
(出所:週刊ダイヤモンド2021/08/07・14号64頁)
しかし、次のような問題があります
第1次相続から第2次相続までの時間の経過の中で、何が起こるかわかりません。次のような問題が生じる可能性があります。こうしたことを考慮することになります。
① 配偶者居住権は譲渡できません
配偶者居住権を所有する母親が、老人ホームに入所する資金を自宅売却の資金をあてようと思っても、配偶者居住権は譲渡できません。
②配偶者居住権を放棄または合意解除する場合は贈与税が課税されます
同様に、母親が老人ホームに入居することなり、居住権を放棄または合意解除したりするケースが考えられます。その場合は、妻から子どもに贈与があったとみなされて、子どもに贈与税が課税されます。
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