リビング・ニーズ特約に基づく死亡生命保険金の相続税と所得税の取り扱い ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[66]
相続税に関する記事です。
今回は
リビング・ニーズ特約のある死亡生命保険金は、相続税は課税、所得税は非課税になります
を紹介します。
死亡保険金は
通常、被保険者が亡くなった後に保険金が支払われます。
リビング・ニーズ特約とは
被保険者の余命が一定期間内(通常6ヶ月以内)と医師に判断された場合、支払われる予定の死亡保険金のうち、通常3,000万円を上限に、保険金が前払いされる特約です。
つまり、死亡保険金の一定額を生前に受け取ることができる特約のことです。
特約保険料はかかりません。無料です。
また余命6か月になった原因は問われず、すべての病気やケガが対象になります。
たとえば
生命保険金3,000万円の全額をリビング・ニーズ特約により受け取った後、容態が急変し、特約により現金3,000万円残したまま亡くなった場合
相続税の対象となる遺産に現金3,000万円が含まれます
この場合のデメリットは、相続税の死亡保険金の非課税(500万円×相続人の数)の規定は使うことができないということです。
<参考>
生前にリビング・ニーズ特約により受け取った際の現金については
次の理由から所得税は非課税となります。
① リビング・ニーズ特約による生前給付金は、死亡保険金の前払的な性格を有しています。被保険者の余命が6か月以内と判断されたことを支払事由としており、死亡を支払事由とするものではありません。重度の疾病に基因して支払われる保険金に該当するものと認められます。
② 疾病により重度障害の状態になったことなどに基因して支払われる保険金は、所得税法施行令第30条第1号《非課税とされる保険金、損害賠償金等》に掲げる「身体の傷害に基因して支払われる」保険金に該当します(所得税基本通達9-21)。
③ したがって、保険金は非課税所得となります。
(出所:国税庁 質疑応答事例)
つまり、リビング・ニーズ特約による保険金を取得した場合、所得税は非課税になります。一方、相続税は非課税になりません。
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