「相続時精算課税制度」と「一般の贈与税制度(暦年課税)」と、どちらを使います?中身はかなり違います。
住宅資金贈与、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与など「贈与の特例制度」を紹介してきました。その前に、実は贈与税の制度には大きく分けて2種類の制度があります。
ひとつは「一般の贈与税制度(暦年課税)」と、一方は「相続時精算課税制度」です。
今回は「相続時精算課税制度」を紹介します。
一般の贈与税制度(暦年課税)は以前のブログで紹介しています。こちら(6/23)(6/30)
相続時精算課税制度とは(ざっくりと)
「もともとこの制度は、2003年度税制改正で経済活性化のために創設されました。まとまった金額を若い世代に早めに渡して消費に使ってもらおうと累計で2,500万円まで非課税枠を設けています。その名のとおり、相続が発生したときに相続税をまとめて精算します。2,500万円を超えたぶんは、一律20%の税率で仮に納税し、相続時にあらためて計算し直す」というものです。(週刊ダイヤモンンド 2017年3/11号)
(上図は国税庁「平成28年分贈与税の申告のしかた」から)
ではその中身は
趣旨
⇒ 生前贈与の促進(親などから子へのスムーズな財産移転)
贈与する人
⇒ 贈与した年の1月1日で60歳以上の父母、祖父母
贈与を受ける人
⇒ 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の子、孫
非課税枠
⇒ 2,500万円を限度として複数年にわたり利用できます。(累計で2,500万円)
メリット
⇒ ①非課税枠を使ってまとまった財産を無税で生前に贈与できます。②相続税がかからない人には大変効果的※です。
※相続財産が基礎控除額「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」以下の父母等
デメリット
⇒ ①届出書を提出する必要があります。②非課税枠内の贈与でも申告が必要です。③一度選択すれば、一般の課税(暦年課税)に戻れません。④富裕層の資産家には意味がありません。
相続時精算課税制度の使い方
相続財産に贈与財産を合算した金額が、相続税の基礎控除額以下のなることが予想される方(相続税がかかりそうにない方)は、相続時精算課税を使えば、相当額の財産を税負担なく財産を移転することができます。一方、相続税が課されることが予想される富裕層にとってはこの制度を利用するメリットはあまりないと思います。
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