「相続廃除」と「相続放棄」の違いで相続税の取り扱いに影響する点 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[39]
今回は
「相続廃除」と「相続放棄」の違いは、相続税法上の取り扱いに影響します。なぜなら、相続税の計算では法定相続人の人数が計算式に含まれているからです
を紹介します。
先日、相続税の相談を受けました。その方は、法定相続人のうち一人を相続廃除したい旨の意向があります。相続人を廃除したときは、相続税はどうなるか?ということを含めてご回答しました。
相続廃除などを踏まえた相続税の取り扱いを確認します。
推定相続人の廃除とは
推定相続人の廃除とは、被相続人の意思に基づいて、相続人としての資格を失わせる制度です。
つまり、推定相続人に遺産を相続する資格がないと判断した場合は、家庭裁判所に申し立てをして、推定相続人を相続から外すことができる制度(遺言によっても可能です。)
廃除された人は法定相続人であっても相続人にはなれません。
つまり、相続税では廃除された相続人は法定相続人にカウントしません
相続税では法定相続人の人数を、次の金額を算出するときに、使用します。
■ 基礎控除額
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
■ 死亡保険金の非課税限度額
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
■ 死亡退職金の非課税限度額
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
相続の廃除があると、基礎控除額や非課税限度額に影響を及ぼしますので、負担する相続税が大きく変わります。
なお、廃除により相続権がなくなった場合は、代襲相続により、相続権を失った者の子が相続人になります。
一方、相続の放棄があった場合
■ 基礎控除額では
つまり、相続放棄は、その相続放棄がなかったものとして扱われ、法定相続人としてカウントされます。遺産に係る基礎控除額の計算上は、その放棄者を含めます。
■ 死亡保険金や死亡退職金の非課税限度額では
計算上の法定相続人の数には、放棄者を含めません。計算において法定相続人が使用されますが、非課税規定の対象者はあくまでも「共同相続人」です。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
春の1日を元気にお過ごしください。
【編集後記】
画像は4/2の京都御所です。のどかです。
いつもこの時期には京都府庁の桜を見に行きます。しかし、コロナの影響でお花見ができませんでした。
予定を変更して、久しぶりに御所に。
京都御所にも桜が咲いていました。
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