遺言書を作成する際に、記載事項はどのようなものがありますか? ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[34]
今回は
共同相続人の相続分の指定などの法定の記載事項があります。必要に応じて記載します
を紹介します。
遺留分の定めに反しない範囲で、遺言によって「誰が、何を、どれだけ相続するか?」を明確に定めておくことで、相続の問題は解決することが多いと思います。
こうしたことを踏まえて、遺言書の記載事項について検討します。
そもそも、遺言書の記載事項にはどのようなものがあるのかを考えてみます。
「遺言事項の法的効力」について
つまり、遺言書に記載することにより、具体的な法律上の効果が生じる事柄のことです。
遺言によって法的な効力を与えられる事項は、おおまかには次の3つです。
■ 相続に関する事項(相続分の指定など)
■ 財産の処分に関する事項(遺贈など)
■ 身分に関する事項(遺言による認知・排除など)
具体的には法定記載事項としては18項目があります。
今回はこのうち6つを取り上げます。
① 共同相続人の相続分の指定など
相続が起こると、原則として遺産は各法定相続人がそれぞれの法定相続割合で取得することになります。しかし、遺言により、特定の相続人に多くの財産を相続させることができます。
<参考>
民法第九百二条
(遺言による相続分の指定)
「被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。」
② 遺産分割方法の指定など
遺言者は、不動産や預金など個々の財産について、それらを誰に与えるかを指定することできます。また、誰に与えるかをの決定を第三者に委託することができます。
③ 5年を限度とする遺産分割の禁止
遺言で、一定期間、遺産の分割を禁止することができます。分割を禁止することができる期間は5年です。
<参考>
民法第九百八条
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。」
④ 財産の処分(包括遺贈・特定遺贈)
遺言によって他人(受遺者)に自己の財産を与えることができます。
<参考>
民法第九百六十四条
(包括遺贈及び特定遺贈)
「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。」
⑤ 財産の処分(一般財団法人の設立・財産の拠出)
一般財団法人を遺言によって設立することができます。
<参考>
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第百五十二条
(定款の作成)
「2 設立者は、遺言で、次条第一項各号に掲げる事項及び第百五十四条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。」
第百五十八条
(贈与又は遺贈に関する規定の準用)
「2 遺言で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈に関する規定を準用する。」
⑥ 財産の処分(信託の設定)
遺言によって信託を設定することができます。
<参考>
信託法第3条
(信託の方法)
「信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
一(略)
二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法
三(略)」
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