寄付を受けた財産をNPO法人は、基金に組み入れて事業に充当する必要があります~ 遺贈寄付[17]
日曜日は、遺贈寄付についての記事を紹介しています。
今回は
寄付財産は基金の事業に充当する必要があります。2年以内に事業供用しなかった場合には寄付者に対し所得税の課税されます
を紹介します。
個人が認定NPO法人に対して現物財産を寄付した場合
土地や建物、有価証券などの譲渡所得の基因となる財産の場合は、個人がその時の時価でそれらの資産を法人に譲渡したものとみなして譲渡所得課税が行われます。
ただし、譲渡所得課税について、一定の要件を満たして、国税庁長官の承認を受けたものについては、みなし譲渡所得課税を行わないという特例が設けられています。
この特例承認手続きの概要は次のとおりです。
→ 「みなし譲渡所得税非課税」特例承認手続きの概要 ~ 遺贈寄付[12]
個人が認定NPO法人に現物資産を寄付する場合、寄付者が承認特例の適用を受けるためには
認定NPO法人側で基金の設置が必要となります。
基金の手続きの全体イメージは次のとおりです。
NPO法人は基金に寄付資産を組み入れて事業に充当する必要があります
基金に組み入れた資産は、NPO法に規定する特定非営利活動に係る事業に速やかに充てることが必要です。
たとえば、寄付を受けた土地を収益目的で貸し付け、その賃貸収入を将来的にこれらの事業に充てることは認められません。
貸付けた時点で、寄付を受けた土地をこれらの事業(特定非営利活動に係る事業)以外に充てることとなるためです。
一方、たとえば
寄付を受けた土地を有価証券に買い換え、その運用益を将来的にこれらの事業に充てるため基金に組み入れることは可能です
この場合は、土地の貸付けと異なり、有価証券はこれらの事業(特定非営利活動に係る事業)以外に充てていないためです。
しかし、寄付資産を寄付日から2年以内に事業供用しなかった場合には
寄付者に対し所得税の課税がされる場合があります。
つまり
「基金に組み入れた資産を基金で管理しなくなり、かつ、その資産(その資産を譲渡し、譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもって買い換えた資産を含みます。)を寄付日から2年以内に公益目的事業の用に直接供していない場合」に該当する場合は、所得税が課税されます。
たとえば、公益目的事業の用に直接供していない場合とは次のようなケースをいいます
・NPO法人が寄付財産を譲渡し、その譲渡代金の全額を事業費として使った場合
・NPO法人が土地を有料駐車場用地として使用した場合
・NPO法人が寄付財産を職員のための宿舎などの福利厚生施設として使用した場合
(出所:内閣府「認定NPO法人等に対する個人からの現物資産寄付のみなし譲渡所得税非課税承認証明申請等の手引き」)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
冬の1日を朗らかにお過ごしください。
※ 画像は浅草の名酒「電気ブラン」。息子がお正月に持ってきてくれました。一緒に家族でいただきました。ブランデーをベースにしたカクテルです。ブランデーの他に、ワイン、キュラソー、薬草などが入っているそうです。
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