認定NPO法人等に対する個人からの現物資産の寄付(寄付者側の手続き)~ 遺贈寄付[15]
日曜日は、遺贈寄付についての記事を紹介しています。
今回は
個人がNPO法人に対して現物資産の寄付をする場合の「個人(寄付者側)の手続き」
を紹介します。
認定NPO法人等に対して個人が現物財産を寄付した場合
土地や建物、有価証券などの譲渡所得の基因となる財産の場合は、個人がその時の時価でそれらの資産を法人に譲渡したものとみなして譲渡所得課税が行われます。
ただし、譲渡所得課税について、一定の要件を満たして、国税庁長官の承認を受けたものについては、みなし譲渡所得課税を行わないという特例が設けられています。
令和2年度の改正により
承認特例の対象に認定NPO法人等が追加されています
改正の内容は次の記事を参考にしてください。
<参考>
→ 認定NPO法人等に対して個人が現物財産を寄付(「遺贈」「贈与」)した場合のみなし譲渡所得非課税について
→ 個人が現物財産を寄付した場合のみなし譲渡所得非課税について(「特定買換資産の特例」に認定NPO法人等が追加)
特例承認手続きの概要は次の記事を参考にしてください。
<参考>
→ 個人が認定NPO法人等に現物資産を寄付した場合の「みなし譲渡所得税非課税」特例承認手続きの概要
個人が認定NPO法人等に現物資産を寄付する場合、寄付者が承認特例の適用を受けるためには
認定NPO法人側で基金の設置が必要となります。
基金の手続きの全体イメージは次のとおりです。
これらの手続きは大きく分けて次の4つです
1 認定NPO法人等で寄付を受ける前に必要な手続き(基金の設置および証明申請)
2 認定NPO法人等で寄付を受けた後に必要な手続き(認定NPO法人等から寄付者への書類の交付)
3 寄付者個人が寄付した後に必要な手続き
4 寄付者および認定NPO法人等が行う非課税承認後の手続
今回はこのうち
「3 寄付者個人が寄付した後に必要な手続き」を解説します
寄付者は国税庁長官に対して寄付資産について非課税承認の申請を行います。
(さきほどの図でいうと⑤の手続きになります。)
つまり
①寄付者は、認定NPO法人等に現物資産を寄付した後、措置法第 40 条の規定による承認申請書を提出する必要があります。
②認定NPO法人等から交付された書類およびその他の添付書類を添付し、寄付者の所轄税務署を経由し国税庁長官に対して、非課税承認の申請を行います。
承認申請書は次のような書類です
①第1表
次のような事項を記載します。
・寄付者の住所、氏名、生年月日、個人番号、職業など
・寄付を受けた法人の所在地、名称、代表者名など
・寄付者が死亡している場合、寄付者と申請者の関係(親子等)が確認できる添付書類が必要です。
②第2表
・寄付を受けた法人の設立年月日および事業の目的、寄付の目的などを記載します。
・法人の定款などの添付が必要です。
③第3表(承認特例用)
・寄付資産の明細および使用目的などを記載します。
・寄付を申し込んだ事実が確認できる書類(寄付申込書、遺言書の写し等)の添付が必要です。
・寄付資産の明細を確認できる書類等(寄付資産に応じたもの)の添付が必要です。
④第5表・第6表
法人の役員等の氏名および寄付者との関係などを記載します。
NPO法人から次のような書類を寄付者に交付する必要があります
(さきほどの図でいうと④の手続きです。)
①承認申請書および添付書類の記載事項が事実に相違ない旨の確認書
②所轄庁から交付された基金に係る証明書の写し
③寄付を受けた法人の合議制の機関において、寄付の申出を受け入れることおよび寄付資産について基金に組み入れる方法により管理することを決定した旨およびその決定をした事項の記載のある議事録等の写し
④上記③の決定に係る寄付資産の種類、所在地、数量、価額などの事項を記載した書類(上記③の議事録等にこの内容の記載がある場合には不要です。)
⑤贈与または遺贈をした者が法人の役員等および社員並びにこれらの者の親族等に該当しない旨の誓約書、贈与又は遺贈をした者が法人の役員等および社員並びにこれらの者の親族等に該当しないことを確認した旨の証明書
(出所:内閣府「認定NPO法人等に対する個人からの現物資産寄付のみなし譲渡所得税非課税承認証明申請等の手引き」)
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