配偶者居住権設定後、配偶者より先に所有者が死亡した場合について ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[29]
配偶者居住権の記事を紹介します。
今回は
配偶者居住権設定後、配偶者より先に所有者が死亡した場合について
を紹介します。
この場合、配偶者居住権は存続中です。
所有者の相続開始時における建物および土地の価額については、配偶者居住権を控除して評価します。
計算する際には、所有者の死亡時点に配偶者居住権の設定があったものとして計算します。
たとえば
夫が死亡し、子どもが自宅の土地・建物の所有権を取得し、遺贈により妻に終身の配偶者居住権が設定された後、
5年後にこどもが死亡した場合、建物と土地の評価額は次のようになります。
■こども死亡時の建物相続税評価額:2,000万円
■こども死亡時の土地相続税評価額:5,000万円
■建物建築日:2010年12月1日
■建物構造:木造
■建物所有者:被相続人(夫)
■終身の配偶者居住権設定日:2021年3月20日(夫死亡日)
■配偶者の年齢:80歳10月(夫死亡日)
■建物・土地相続人:こども(長男)
■こども(長男)死亡日:2026年3月20日
〔建物の所有権部分の価額〕
2,000万円×(33年-15年-8年)/(33年-15年)×0.789=876万円
耐用年数:33年(22年×1.5)
経過年数:15年(2010年12月1日~2026年3月20日:15年3ヶ月)
存続年数:配偶者のこども(長男)死亡時点の年齢85歳10月→切り上げ86歳
86歳の女性の平均余命は8.3年→6月未満は切り捨て8年
複利現価率:法定利率3%による8年の複利現価率は0.789
[土地の価額]
5,000万円×0.789=3,945万円
[こども(息子)所有権者の相続税評価額]
876万円+3,945千円=4,821千円
<参考>
相続税法基本通達 23の2-6
配偶者居住権の設定後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した当該配偶者居住権の目的となっている建物及び当該建物の敷地の用に供される土地の当該取得の時の価額
配偶者居住権の設定後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した当該配偶者居住権の目的となっている建物及び当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)の当該取得の時の価額は、法第23条の2の規定に準じて計算することに留意する。この場合において、法第23条の2第2項に規定する「当該配偶者居住権の価額」又は同条第4項に規定する「権利の価額」は、当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した時に配偶者居住権の設定があったものとして計算する。
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