配偶者の死亡により配偶者居住権が消滅した場合の課税の取り扱いについて ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[28]
配偶者居住権の記事を紹介します。
今回は
遺贈により妻が配偶者居住権を取得し、息子が土地・建物の所有権を取得していた後に
配偶者の死亡により配偶者居住権が消滅した場合の相続税・贈与税の取り扱いについて
を紹介します。
配偶者居住権の存続期間の途中に一定の事実が生じたことにより、配偶者居住権が消滅した場合には
消滅の事由により「みなし贈与」あたる場合と「みなし贈与」にあたらない場合に区分されます。
みなし贈与課税の対象とされない場合は次のとおりです
① 建物の消滅
② 配偶者居住権の設定期間の満了による消滅
③ 配偶者の死亡による消滅
みなし贈与課税の対象とされる場合は次のとおりです
① 使用または収益の用法違反による消滅
② 放棄による消滅
③ 合意による消滅
<参考>
→ 「配偶者居住権の消滅」がみなし贈与にあたる場合とみなし贈与にあたらない場合
配偶者の死亡により配偶者居住権が消滅した場合は「みなし贈与」になりません
したがって、贈与税の課税関係は発生しません。
配偶者が死亡した場合は、民法の規定より配偶者居住権が消滅することになります
「消滅」ですので、配偶者から建物の所有者(息子)に相続を原因として移転する財産はないことになります。
つまり、相続税の課税関係は発生しません。
<参考>
相続税法基本通達 9-13の2
配偶者居住権が合意等により消滅した場合
「配偶者居住権が、被相続人から配偶者居住権を取得した配偶者と当該配偶者居住権の目的となっている建物の所有者との間の合意若しくは当該配偶者による配偶者居住権の放棄により消滅した場合又は民法第1032条第4項《建物所有者による消滅の意思表示》の規定により消滅した場合において、当該建物の所有者又は当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)の所有者が、対価を支払わなかったとき、又は著しく低い価額の対価を支払ったときは、原則として、当該建物等所有者が、その消滅直前に、当該配偶者が有していた当該配偶者居住権の価額に相当する利益又は当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価額に相当する利益に相当する金額(対価の支払があった場合には、その価額を控除した金額)を、当該配偶者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。」
「(注) 民法第1036条《使用貸借及び賃貸借の規定の準用》において準用する同法第597条第1項及び第3項《期間満了及び借主の死亡による使用貸借の終了》並びに第616条の2《賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了》の規定により配偶者居住権が消滅した場合には、上記の取り扱いはないことに留意する。」
民法第597条
期間満了等による使用貸借の終了
当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
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