配偶者居住権の目的となっている敷地利用権の価額と土地所有権の価額の評価方法~ 贈与や相続・譲渡など資産税[15]
資産税の記事を紹介します。
今回は
配偶者居住権の目的となっている敷地利用権の価額と土地所有権の価額の評価方法
を紹介します。
配偶者居住権とは(ざっくりと)
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身または一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利です。
遺産分割や被相続人の遺言により、配偶者に「配偶者居住権」を取得させることができます。
配偶者居住権に関係する評価区分は4つあります
配偶者居住権が設定された家屋と土地の評価区分は次のようなイメージになります。
A~Dはおのおの次のような区分になります。
A 建物の利用権 → 配偶者居住権の価額
B 建物の所有権
C 土地の利用権 → 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額
D 土地の所有権
AとCは配偶者の財産、BとDは所有者の財産として評価することになります。
前回は、上の区分でいうと
建物に関する「A建物の利用権」「B建物の所有権」の評価方法を紹介しました。
今回は、上の区分でいうと
「C土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)と「D土地の所有権」の評価方法を紹介します。
「C土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)」は次の算式で計算します
上の算式の
「居住用建物の敷地の用に供される土地の相続税評価額」とは、配偶者居住権が設定されていないものとした場合の土地等の評価額のことです。
「存続年数に応じた法定利率による複利現価率」とは、配偶者居住権設定時におけるその配偶者居住権の存続年数に応じた法定利率による複利現価率のことです。
なお、居住建物の一部が賃貸の用に供されている場合または被相続人が相続開始の直前において居住建物の敷地を他の者と共有し、もしくは居住建物をその配偶者と共有していた場合には、次の算式により計算した金額となります。
「D土地の所有権」は次の算式で計算します
(注)敷地利用権の価額とは、上で算出した「C土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)」のことです。
CとDの価額の具体的計算例を示すと次のとおりです
■相続税評価額 建物:2,000万円 土地:5,000万円
■建物建築日:2010年12月1日
■建物構造:木造
■建物所有者:被相続人(夫)
■遺産分割日:2021年3月20日
■配偶者の年齢:80歳10月(遺産分割日)
■建物相続人:長男
存続年数:12年(第22回生命表に基づく平均余命11.71年)
複利現価率:法定利率3%による12年の複利現価率は0.701
「C土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)」の価額は次のとおりです
5,000万円-5,000万円×0.701=14,950千円
アンダーラインの部分で配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等の価額を計算しています。
「D土地の所有権」の価額は次のとおりです
5,000万円-14,950千円=35,050千円
(出所:Tax Answer No.4666配偶者居住権等の評価)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
夏の1日を元気にお過ごしください。
贈与や相続・譲渡など資産税
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[3] 離婚により自宅を妻に残産分与しました。夫は譲渡所得の申告が必要になります
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[6] 離婚により住宅ローン付きのマンションを、夫が妻に残産分与しました。妻の税金はどうなりますか?
[7] 配偶者居住権は、配偶者の死亡により権利が消滅することを利用する節税術としてのメリットより、デメリットの方が大きい
[8] それぞれ子どもがいる高齢者同士が再婚した場合の「配偶者居住権」の利用方法
[10]配偶者居住権の対象となる建物を、その後に配偶者が取得した場合
[11]事業を廃止し、店舗兼住宅を居住用のみとして建物を使用する場合の配偶者居住権の取扱い
[12]相続時における配偶者居住権の評価の特徴となるポイント
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