井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.05.15.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

離婚により住宅ローン付きのマンションを、夫が妻に残産分与しました。夫の税金はどうなりますか? ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[5]

 

資産税についての記事を紹介します。

 

“離婚により夫が妻に住んでいたマンションを財産分与することになりました。妻は残ローンを引き受けます”

 

このケースの場合、夫(A)の課税はどうなりますか?

を考えます。

 

結論は

 

「夫(A)はその財産分与した時において、その時の時価によりそのマンションを譲渡したことになります。」

 

考え方は次のとおりです。

 

■夫婦の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができます。

■財産の分与として譲渡所得の原因となる資産(マンションなど)の移転があった場合、資産の移転については、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする資産の譲渡があったものとして譲渡所得の課税が行われます。

※ 経済的な利益は、分与財産の分与時の時価となります

■夫(A)は、分与をした時において、その時の時価によりそのマンションを譲渡したことになります。

 

さらに財産分与をしようとするマンションにローンが残っている場合

 

たとえば

マンションの時価:1,000万円

住宅ローン残高:800万円

 

妻(B)は、そのローンを引き受けることを条件としてマンションを取得したとします。

夫(A)は、引き受けてもらった債務の消滅という経済的利益(800万円)と、財産分与義務の消滅という経済的利益(マンションの時価とローンとの差額:200万円)を受けることになります。

これらの経済的な利益の合計額(1,000万円)を譲渡収入金額として、譲渡所得の課税がおこなわれます。

 

マンションの分与時の時価と同額になります。

つまり、夫(A)の収入金額は、妻(B)がローンを引き受けても引き受けなくても「分与財産の分与時の時価:1,000万円」となります

 

 

夫(A)の住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用は

 

配偶者に対する譲渡については居住用財産を譲渡した場合の3,000万円 の特別控除の適用はありません。

しかし、財産分与は離婚が成立した後になされるものです。離婚に伴う財産分与は配偶者に対する譲渡には該当しません。

したがって、夫は居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

春の1日を元気にお過ごしください。

 

 

贈与や相続・譲渡など資産税

[1] 父親が息子に時価より低額で、土地を譲渡した場合の所得税・相続税の考え方

[2] 長男がすべての財産を相続するかわりに、次男に従来から所有していた長男の土地を引き渡した場合に譲渡所得が発生します

[3] 離婚により自宅を妻に残産分与しました。夫は譲渡所得の申告が必要になります

[4] 離婚により住宅ローン付きの自宅を、妻に財産分与しました。妻は住宅ローン控除をうけられますか?

 

 

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