開業前のための基礎知識③~前年の所得にかかってきますので、退職後の住民税の支払を忘れずに!
「開業の基礎知識」~初めて開業する方に、開業の方法や必要書類の準備を税理士からお伝えします。
開業に興味のある方、開業準備中の方、開業して間もない方は、ぜひ参考にしてください。
経営者や事業主になると、今まで会社員や主婦の経験では、知り得なかったことが多くあります。
この連載ブログの対象となる方は、例えば、いままでサラリーマンをされてきたが意思を固めて独立開業される方、家庭で子育てをされてこられて子どもさんの手が離れて開業準備をされている女性の方などです。
これらの方を対象に開業に必要な基本的なルールを紹介します。
「開業の基礎知識」は
今回は、「第1 開業前のための基礎知識」から、前回の「源泉徴収票を忘れずに保管しておいてくださいね」に続き、「退職前後の手続き」を紹介します。
住民税の精算が必要になります。
忘れてはならないのは、都道府県や市町村に納める住民税の精算が必要になることです。
会社員であったときは、住民税は所得税と同じく、会社が、皆さんの毎月の給与から差し引いて会社が市町村に納付していました(給与天引き、住民税では特別徴収といいます)。
(上図の出所:高梁市「市民税・県民税(個人住民税)の特別徴収の推進について」から)
退職する際に
残りの住民税を最後の給料から一括納付するか、後日自分で納付するか(普通徴収といいます)か、どちらかを選択します(事前に選択することができます)。
住民税は前年の所得をもとに計算されます。それを今年の6月から5月までの12月間、毎月の給与から差し引いて納付します。そのため、例えば7月に退職した場合、8月から翌年5月までの10カ月分の住民税が未払い分となって残ります。
① 一括納付を選択した場合
この未払い分を一括で支払うことを選択しますと、残りの未払いの住民税が7月分の給与から差し引かれます。
② 普通徴収を選択した場合
普通徴収とは、年4回(6月、8月、10月、1月)を自分で納税する制度です。普通徴収を選択した場合、未払いの住民税は残りの納期限の回数(この事例では8月、10月、1月)
で支払います。退職後は、納税通知書が郵送されてきますので、納期限まで銀行等で支払うことになります。
③ 1月から5月までに退職した場合は原則として一括徴収になります。
注意していただきたいのは②の普通徴収を選択した場合です。
退職後は、収入は安定的とはいえませんし、一方で住民税は所得税より高いです。
例えば、給与収入500万円の会社員(配偶者有り)であれば、所得税約10万円、住民税は約21万円程度です。
今まで会社員であった場合、特別徴収(給与天引き)されているため、あまり気にすることもなかった住民税です。退職後事業主となれば、個人の責任で支払う必要がでてきます。
支払いの期限を過ぎると延滞金がかかってしまいます。
退職後、起業するまでは収入もありません。所得税のよりも住民税の負担が大きく感じるものです。退職後の住民税の支払の心づもりをしておいてくださいね。
開業にあたって、会計や税金など気になることがあれば、電話やメールでお気軽にご相談ください(来所いただける場合は初回無料です)。
次回11/27(月)は、「第1 開業前のための基礎知識」から、「退職前後の手続き」で「事業主としてリスクに備える保険の基礎知識」を紹介します。
月曜日は、開業予定者や創業者を対象に「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・「開業前の基礎知識②~退職後に郵送される給与所得の源泉徴収票の保管を忘れずに」はこちら(11/13)
・「退職前後には社会保険の変更の手続きが必要になります」はこちら(11/6)
・「開業の方法や必要書類の準備を税理士からお伝えします」はこちら(10/30)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
よく読まれている記事
・「平成30年度介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)
・「地方自治体がまちづくり株式会社をつくり、総合事業改革塾を始める。逢坂伸子氏の取り組み」はこちら(8/3)
水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」
金曜日は、「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
土曜日は、「“会計”に挫折した起業者の方を対象に、起業者の会計超理解ハンドブック」
よく読まれている記事
・「損益計算書は前期と比較する!」はこちら(11/18)
・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください!」はこちら(11/11)
日曜日は、贈与税の特例制度の注意点を紹介しています。
よく読まれている記事
・「住宅ローン控除と贈与税の非課税は併用できますか?」はこちら(11/12)
・「親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~名義変更しなければ贈与税がかかりますので工夫が必要です」はこちら(7/31)