「後継者や兄弟姉妹の当事者が事業の存続を第一に考え、もめごとを起こさない京都老舗の事業承継のルール」とは~事業承継・税理士の視点③
水曜日は、税理士の視点から「事業承継」を記事にしています。
今日は
創業300年を超える「堀金箔粉(ほりきんはくふん)」
です。
1711年、初代砂子屋伝兵衛が幕府から金の配給を受け、金箔作りを開始。明治以降、販路を全国に広げる。純金をはじめとする金属箔や金属粉を製造・販売している。従業員は約30人、2017年3月期の売上高は10億4千万円。
(出所:朝日新聞18/03/24「近畿の底ぢから」)
300年超続いている老舗ですが、その歴史は山あり谷ありの中で
変わらないものと変えてきたものの共存が素晴らしいです。
同社は江戸時代に金箔を作り、和装産業や仏壇仏具産業に使われ売上を伸ばしましたが、戦中・戦後は統制を受けて、1953年の金閣寺の再建の時に特需により息を吹き返しました。しかし、和装産業などの衰退を受ける中で、新商品の開発や得意先の開拓に努めて、金属箔の製造と販売を続けています。
もちろん寺社や文化財のほか、食用や美容、先端科学の分野にまで製品が広がっています。
例えば、上の写真は食用品金箔です(出所:同社のHPより)
また、二条城のカフェ「茶乃逢(さのあ)」で販売されている「黄金ソフト二条城桜ふぶき」が人気だそうです。(アイキャッチ画像写真を参照。出所は茶乃逢のHPより)
「堀金箔粉の金箔を一枚まるごと 抹茶ソフトにのせました。障壁画の 虎が描かれた麩焼きせんべいを 古城の満月、フリーズドライ苺チップを舞い散る桜に見立てた 豪華絢爛な和風スイーツ」
一方、変わらないものは「事業承継のルール」です
初代から10代の智行氏にいたるまでの承継・相続の原則は次の原則です。
① 代々一人一業(兄弟で同業しない)
② 長子相続にこだわらないこと(能力主義)
③ 株や土地を兄弟姉妹間で分けないこと(現金で分ける)
④ 業を継ぐ者が堀家のまつりごと一切を継ぐこと(次男以下が家業をつぐ場合、長男存命の場合でも、家業を継ぐ者が堀家のまつりごと一切を取り仕切る)
実際に、先々代、先代、悦明氏と3代続いて次男の一人相続が続いた。代々兄弟が別の仕事に従事してきたため、総じて親戚の中がよい。
(出所:友松悦子税理士「プロフェッショナルセミナー税理士がサポートする事業承継」16/07/25)
300年にもわたる堀金箔粉の変わらないものと変えてきたもののバランスが素晴らしいと考えます。
参考までに「箔が付く」の語源を調べました。次のとおりです。
「箔(はく)」は、襖や蒔絵などに施す金箔・銀箔などの延び金のこと。これが非常に高価であったことから、値打ちが高くなること、貫禄がつくことを「箔が付く」というようになった。反対語は「箔が落ちる」。
少子高齢化などの社会的な変化を凝視しながら、事業承継について対策や予測を税理士の視点から考えていきます。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
事業承継・税理士の視点
・①「相続と事業承継の相違はそもそも何か?」はこちら(3/7)
・②「事業承継に公的支援がされるのはなぜか?」はこちら(3/14)
「同族会社とその役員の手引き」などの税金(法人)を紹介しています。あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税をわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税であやまりやすい事例」