親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合、贈与税がかかります⑤~建物の所有権の帰属
日曜日は「贈与税をわかりやすく」を紹介しています。
父親名義の建物に子どもが増築した場合、増築部分は建物の所有者(父親)の所有物となります
この場合、父親が子どもに対して対価を支払わないときは、父親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。
なぜならば、父親が「増築家屋」の所有権をもつからです
既存の家屋に対する増築部分の家屋の所有権は、不動産の附合の規定により、既存家屋の所有者である父親に帰属することになります。
つまり、増築部分の登記は原則として父親名義でしか行えません。
したがって、子どもから父親に増築資金相当額の贈与があったものとされ、父親に贈与税が課税されます。
増築家屋の所有権の帰属についての考え方
■家屋の増築を行った場合は、その増築した部分が家屋として独立した一戸の構造および機能を有していない限り、その増築部分の家屋の所有権は不動産の附合(民法第242条)の規定により増築前の家屋の所有者に帰属します。
■この取扱いは、マンション等の区分所有が可能な建物以外の建物に係る所有権については、1棟の建物の全部について1個の所有権が認められるものであり、1棟の建物のある特定の部分について限定的な所有権は認められていないことに基因します。
■つまり、区分所有が不可能な建物に部分的所有権を認めると、ある者が有するその建物の所有権のおよぶ範囲が不明確となる場合があると考えられるためです。
(出所:「税理士のための資産税の税務判断実務マニュアル」、笹岡宏保著)
したがって、増築部分の登記は原則として父親名義でしか行えません
増築部分の家屋の所有権は、不動産の附合の規定により、既存家屋の所有者である父親に帰属することになります。
つまり、増築部分の登記は原則として父親名義でしか行えないことになり、子どもから父親に増築資金相当額の贈与があったものとされます。
たとえば、子どもが支払った増築に要した費用が12,000千円だとすると
贈与税(暦年課税)の計算は
(12,000千円-1,100千円)×45%-1,750千円=3,155,000円
父親が申告・納付する贈与税は3,155,000円になります。
こうしたことを回避するため
父親が増築前の家屋を子どもに贈与し、子どもの増築費用の資金負担後、家屋全体を子ども名義で登記する方法や子供が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とするなどの方法が考えられます。
参考
→ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~名義変更しなければ贈与税がかかりますので工夫が必要です
こうした親子間の贈与に関する問題は、日頃、税になじみのないサラリーマンにも起きることがあります。ケースによって取扱いが相違する場合がありますので、専門家に相談されることをおすすめします。
Every day is a new day!
今日も秋の1日を元気にお過ごしください。
贈与税をわかりやすく
① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります。
③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります。
④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です。
⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい。
⑥ 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります。
⑧ 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税。
⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります。
⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません。
⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの?
⑬ 親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと
⑮ 親の借地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと
贈与税で誤りやすい事例
① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?
② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?
④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました。
毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと
⑦ 贈与契約書が必要です。
⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして。
⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか?
贈与税を中心とした「マイホームの税金」に関するブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制」特例のポイント解説
・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
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