マンションを売却した際、取得費がわからないとき売却価額の5%であきらめてはいけません ~ 確定申告で間違いやすい項目㉘
今回は
“マンションを売却した際に取得費が分からないとき”
を紹介します。
マンションを売却した際の譲渡所得の金額は
売却した金額から、取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
取得費は、 土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
一方、建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額です。
売ったマンションの買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合は
取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。
たとえば、 マンションを3,000万円で売った場合に、取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である150万円を取得費とすることができます。
しかし、5%の概算取得費で算出する方法と別に、取得費を算出する方法があります。
「建物の標準的な建築価額表」で算出する方法です
たとえば、令和元年5月24日にマンションを売却(19,000,000円)したが、取得価額が不明です。
マンションは昭和54年3月14日に29,000,000円で購入しましたが、購入時の契約において建物と敷地権価額は区分されていません。
こうした場合、次のように取得費を計算します。
1 建物の標準的な建築価額による建物の取得価額の計算表
①売却したマンションの建築年月日 昭和54年3月14日
②①の建物の標準的な建築価額表で求めた建築単価114.3千円/㎡(鉄筋コンクリート造)
③その建物の床面積(延べ床面積) 65.98㎡
④マンション建物部分の取得価額 ②×③=7,541,514円
※ マンションの床面積は、その専有部分の床面積によっても差し支えありません。
<参考>
(出所:譲渡所得の申告のしかた記載例)
2 建物の償却費相当額を計算します
7,541,514円×0.9×0.015(償却率)×40年(経過年数)=4,072,417円
3 建物の取得費を算出します
7,541,514円-4,072,417円=3,469,097円
4 土地(敷地権)の取得費を算出します
29,000,000円-7,541,514円=21,458,486円
5 この事例では売却損が発生していることになります
①売却価額 19,000,000円
②取 得 費 3,469,097円+21,458,486円=24,927,583円
① < ②
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
冬の1日を元気にお過ごしください。
確定申告で間違いやすい項目
① 妻が契約者になっている生命保険の保険料、生命保険料控除の対象となりますか?
② 事業を始めた個人が、青色事業専従者に給与を支払うこととなった時の手続き
③ 事業を始めた個人が、開業準備期間中に支出した費用(開業費)
④ 年末、年内に納品した分で未請求の売掛金の記帳を忘れずに【決算】
⑤ プライベート用と事業用の混ざった支出のうち、いくらが必要経費で落とせるのか?
⑥ 中古車を購入しプライベートで使っていたが、車を事業に使った(転用)場合の減価償却費の計算
⑦ パートやアルバイトなど。2か所以上から給与をもらっている方の確定申告
⑧ 令和元年10月から変更されている「住宅ローン控除」の控除期間
⑨ 単身児童扶養者とは?「令和2年分給与所得者の扶養控除等申告書」
⑩ 確定申告や年末調整で16歳未満の扶養親族を記載する理由とは
⑬ 副業で稼いだ結果、確定申告をしなかった場合(無申告)の加算税などのペナルティ
⑭ 個人事業主が事業を廃止した場合、消費税で注意が必要な3つのポイント
⑮ 「居住用財産譲渡の3,000万円控除」と「住宅ローン控除」の重複適用について
⑯ 前年の「住宅ローン控除」の適用をやめて、本年に「居住用財産譲渡の3,000万円控除」を適用することができます
⑰ 売却した上場株式の取得価額がわからない場合の「取得価額」の算定のしかた
⑱ 株式を売却したときの、総収入金額の収入すべき時期について
⑲ 確定申告で選択した「上場株式等の譲渡所得等」の課税方式は変更することはできません
⑳ 申告し忘れた過去の上場株式等の譲渡損失の申告について「更正の請求」により損失控除ができる場合
㉒ 申告していない上場株式等の譲渡損失がある場合、期限後の申告でも問題ありません
㉓ 上場株式等の譲渡損失が、繰越損失として控除できないケース
㉔ マンションに「住宅取得等資金贈与税非課税」を適用するには「引渡」が必要です
㉕ 確定申告で税金を取りもどす「還付申告」は過去5年までさかのぼれます
㉖ 契約締結日に対応して「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の限度額は、変わります
㉗ 「住宅取得等資金の贈与税の非課税」は住宅の床面積の確認が必要です
災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
雑損控除
① 災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
③ 損失額が不明の場合には「損失額の合理的な計算方法」で算出します
⑤ 現状回復のための支出がある場合(翌年・翌々年に支出した災害関連支出)
⑥ 原状回復費用から資産の損失額を控除した残りが災害関連支出となります
⑦ 災害による控除対象となる資産とはどのような資産か?たとえば「現金」は?
⑧ 「家財の搬出費用」「ホテルの宿泊費用」は災害関連支出の対象となりますか?
⑨ 損害を受けたことにより支払い受ける保険金や損害賠償金は、損失から差し引きます
⑩ 災害年の翌年に災害関連支出をした場合には、「雑損失の金額の計算書(2年目以降)」を使用します
個人の確定申告について、次の記事を参考にしてください。
木曜日の「法人節税策の基礎知識」はお休みしました。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「介護事業」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日はテーマ決めずに書いています。
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