上場株式等の譲渡損失が、繰越損失として控除できないケース ~ 確定申告で間違いやすい項目㉓
今回は
“上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年に繰り越すための申告が必要です”
を紹介します
たとえば次のようなケースです。
■平成29年分
平成29年分について、上場株式の譲渡損失が発生したので、翌年以降に繰り越すため付表等を添付して適正な申告を行っていました。
■平成30年分
平成 30 年分については、株式取引を行わなかったので、医療費控除の申告のみを行いました。
■令和元年分
令和元年分については、株式取引を行い、株式譲渡の年間所得取引が黒字となりました。
そこで、平成29年分の譲渡損失を控除するため、平成30年分について、申告し忘れた平成 29 年分からの繰越損失を計上する旨の「更正の請求」を行いました。
そのうえで、令和元年分の申告について、この繰越損失を控除することとしました。
平成30年分については更正の請求はできません
平成30年分については、確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)の添付なしで申告しています。
つまり、平成30年分の申告において、平成29年から繰り越した損失を計上していないことなります。
このケースは更正の理由となる
「課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことまたは当該計算に誤りがあったこと」に該当しません。
したがって、更正の請求ができません。令和元年分において平成29年分の譲渡損失を控除することはできません。
<参考>
国税通則法 第23条1項
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、(略)、その申告に係る課税標準等または税額等(略)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたことまたは当該計算に誤りがあつたことにより、申告書の提出により納付すべき税額(略)が過大であるとき。
二 (略)
三 (略)
租税特別措置法 第37条の12の2
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
第7項
「第5項の規定は、同項に規定する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が前項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であつて、第61項の確定申告書に同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。」
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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冬の1日を元気にお過ごしください。
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災害を受けた個人が知っておきたい税金の負担が軽くなる仕組み
雑損控除
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⑩ 災害年の翌年に災害関連支出をした場合には、「雑損失の金額の計算書(2年目以降)」を使用します
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