中途就職者は前職分の「給与所得の源泉徴収票」がないとき年末調整を行うことができません ~ 年末調整で間違えやすい項目
個人の税金の記事を掲載します。
今回は
前の給与の支払者が支払った給与の金額が分からないときの年末調整について
紹介します。
たとえば
Q:
本年中途に入社した従業員Aさんは、前職に係る給与の金額が分かりません。「給与所得者の扶養控除等申告書」は、提出しています。
年末調整できますか?
A:
年末調整は行うことができません。
1 中途就職者について、前職分の「給与所得の源泉徴収票」がなく、給与の金額が確認できない場合には、年末調整を行うことができません。
2 したがって、従業員Aさんは、年末調整をしなかった者で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者となります。
3 ただし、現在お勤めの会社での給与の支払金額が250万円を超える場合には、「給与所得の源泉徴収票」を税務署に提出することになります。
国税庁の「令和4年分年末調整のしかた」。33ページに次の記載があります
4 年の中途で再就職した人の取扱い
「年の中途で就職した人で、就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人については、その前職分の給与を含めて年末調整を行うことになりますから、前の給与の支払者から本年中に支払を受けた給与とその給与から徴収された税額を集計に含めます。
この場合、前職分の給与とその徴収税額については、その人が前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認することになりますが、その確認ができるまではその人の年末調整は見合わせてください。」
<参考>
所得税法第190条
(年末調整)
「給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第1号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2000万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合において、同号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第2号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければならない。
一 その年中にその居住者に対し支払うべきことが確定した給与等(その居住者がその年において他の給与等の支払者を経由して他の給与所得者の扶養控除等申告書を提出したことがある場合には、当該他の給与等の支払者がその年中にその居住者に対し支払うべきことが確定した給与等で政令で定めるものを含む。次号において同じ。)につき第183条第1項(源泉徴収義務)の規定により徴収された又は徴収されるべき所得税の額の合計額」
所得税法第226条第1項
(源泉徴収)
「居住者に対し国内において第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(略)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年1月31日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後1月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより当該税務署長の承認を受けた場合は、この限りでない。
所得税法施行規則第93条第2項第3号
(給与等の源泉徴収票)
三 同一人に対するその年中の前2号に規定する給与等以外の給与等で給与所得者の扶養控除等申告書を提出した者(前号の役員を除く。)に対してその提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものの支払金額が250万円以下である場合
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日、元気にお過ごしくださいね!
【編集後記】
月曜日の「創業者のクラウド会計」の記事はお休みしました。
今日は千里山まで出張でした。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
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