副業などをして2か所の会社で働くことになった場合の社会保険料の取り扱いについて ~ 確定申告で間違いやすい項目
社会保険に関する記事です。
今回は
A会社に勤務しながら、新しく別のB会社でアルバイトを始めた場合の社会保険の取り扱いについて
を紹介します。
先日、顧問先から照会があり、専門外ですが調べてみました。
社会保険の加入手続きは、入社と同時に会社が行います。しかし、2か所の会社で雇用されるようになった場合、社会保険の取り扱いはどうなるのでしょうか?
社会保険の加入要件について
パートタイマーやアルバイトとして働く方、いわゆる短時間労働者が社会保険の加入対象となるルールは次のとおりです。
■ 1週間の所定労働時間
同一の事業所に使用される通常の労働者の3/4以上
■ 1カ月の所定労働日数
同一の事業所に使用される通常の労働者の3/4以上
特定適用事業所で働く短時間労働者が、1週間の所定労働時間や1カ月の所定労働日数が3/4未満であっても、次のすべてにあてはまると、短時間労働者は被保険者になります。
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・雇用期間が1年以上見込まれること
・賃金の月額が88,000円以上であること
・学生でないこと
特定適事業所とは、被保険者が常時501人以上の会社です。特定適用事業所でなくても労使合意を得ることで、任意特定適用事業所になるための申請ができます。
A会社で要件を満たすが、B会社では要件を満たさないケース
A会社で社会保険の加入要件を満たす場合は、A会社で社会保険に加入します。
この場合、社会保険加入などの手続きや支払う保険料などは、A社1社のみで働いている場合と同じになります。
A社・B社とも要件を満たす場合
A社とB社がいずれも社会保険の加入要件を満たす場合、会社と本人それぞれで、社会保険の手続きを行う必要があります。
被保険社本人が行う手続きがあります
2か所以上の会社で社会保険の加入要件を満たした場合は、被保険者本人が主たる事業所を選択します。
社会保険の加入要件を満たした事実の発生から10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します。
提出先は、選択する事業所の所在地を管轄する年金事務所となります。
A社とB社と本人の保険料の取り扱い
管轄年金事務所は、A社およびB社の給料を合算し、給料額に応じた各会社と被保険者本人の社会保険料を算定します。
会社と本人は、管轄年金事務所の計算した金額を支払うことになります。
例えばA社から50万円、B社から30万円の給料を受け取っていたとします。また、この給料(標準報酬月額)に対応する保険料は18万円となった場合は
A社・B社の報酬月額の比率で按分した上で、各社と被保険者が折半の上で納付することになります。
A社・B社に雇用され、社会保険の加入要件を満たす場合は
それぞれの会社(A社・B社)で資格取得届を提出する必要があります。
この場合は、いずれか一つの会社を主たる事業所として届出を提出します。
選択した会社の管轄する年金事務所によって一括して業務が取り扱われます。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日、元気にお過ごしくださいね。
【編集後記】
トップ画像は樅山奈実さんの「+R」から。(ご本人の承諾を得ています)
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