そもそも運転資金として、妥当な融資金額とは?ハードルが高いケース ~ 中小企業「決算書」の読み方入門③
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、融資や経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
銀行が考える適切な運転資金融資額の金額はいくらか?
前回の繰り返しになりますが
運転資金とは
運転資金とは、「仕入」→「在庫」→「販売」→「回収」の営業サイクルの中で、経常的に必要となる資金です
運転資金が必要となるのは、キャッシュ回収までのタイムラグがあるからです。
いいかえると、お金の入ってくる時期が、お金が必要な時期に比べて遅れることに原因があります。
つまり、商品を仕入れたものの、在庫や売掛金でお金が入ってこない期間の方が、仕入代金の支払いを待ってもらっている期間よりも、長いからです。
仕入れてから売上までの期間のキャッシュのズレにより、運転資金が必要となるわけです。
運転資金をわかりやすく図にすると、次のようになります
運転資金の算式は次のようになります
したがって自社の必要な運転資金は、算式にあてはめれば簡単に算出できます
たとえば、B社の貸借対照表中で、運転資金を構成する科目の金額が次のようであれば
資産の部
現金預金 10百万円
売掛金および受取手形 48百万円
棚卸資産 17百万円
: :
固定資産 20百万円
: :
負債の部
買掛金 80百万円
支払手形 0百万円
: :
短期借入金 25百万円
算式にあてはめますと
売上債権(売掛金および受取手形48百万円)+棚卸資産17百万円-仕入債務(買掛金80百万円)=▲15百万円
したがって、B社の必要な運転資金はマイナスです。
B社は、運転資金が不要な財務状態の会社になります。
銀行は、この財務状態を踏まえて、既に貸借対照表に計上されている短期借入金25百万円の使途を次のように考えます
B社は運転資金が不要(▲15百万円)な財務状態です。
金融機関は、B社の短期借入金25百万円は、固定資産(20百万円)、現金預金など(10百万円)などの資産に使われていると考えます。
銀行がB社の運転資金の融資を検討する際には、慎重な判断を行うことが考えられます。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
夏の1日を元気にお過ごしください。
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経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
3 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
4 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
5 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
9 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
12 PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益
13 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です。
14 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます。
15 流動資産の3つの区分~資産でないものが含まれています。
19 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です
21 貸付金のうち、中小企業で最も多いのは社長への役員貸付金
22 開業費などの繰延資産の考え方。繰延費用と考える方がわかりやすい。
23 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月。
25 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます。
26 高額な仮払金・立替金などは決算書に計上してはいけません
27 債務の計上はもれてしまいます。計上もれを防ぐための方法
32 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント
37 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします
38 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金
39 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金
40 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金
41 月次試算表のチェック方法⑤ キャッシュフローをつかむ
42 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書のチェックポイント
43 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント
44 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません!
48 事業の変化を見るには、数字を見る以外にありません。年計表を活用します
53 粗利率とは何ですか?
銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法
③ 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力」
⑤ 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力」
⑧ 今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力」
⑩ 信用保証協会の保証により融資保全されている場合は条件変更が行いやすい
⑫ 経営改善計画の策定とその具体的な実行があれば、不良債権にはなりません
⑬ 大幅な赤字や債務超過でも、キャッシュフローの状況で判断します
⑯ 債務超過でも商品実績や新規販売経路の開拓に見込がある中小企業は評価されます
⑰ 経営改善計画を策定していない場合でも、経営改善に向けた取り組みが評価されます
⑱ 外部要因にともなう一時的な影響による計画未達に対する評価とは
⑳ 貸出条件の変更を行っても不良債権にならない場合となる場合
㉑ 担保・保証で保全されている場合には、不良債権にはなりません
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
会計超理解ハンドブック(No1~No17)
② 財務三表とは?
⑨ 減価償却費って何ですか?
⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です。
⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日はテーマを決めずに書いています
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