「経常利益・略してケイツネは、PLの中で最も重要な利益です。よく見せたいという気持ちになりやすい。」~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑪
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者の方が自社の決算書の数字を理解して、自社の経営に活かせる“会計”の考え方を紹介しています。
今回は、経常利益が重視されるのは何故か?を考えていきます。
「経常利益・略してケイツネは、PLの中で最も重要な利益です。よく見せたいという気持ちになりやすい。」
決算書の読み方・活かし方の11回目です。
まずは、経常利益(略してケイツネ)がPLのどこに位置するか?を確認します
営業利益から、「営業外収益」や「営業外費用」を足し・引きした利益を経常利益といいます。売上総利益、営業利益の次にくる第3番目の利益を「経常利益」です。
省略して、ケイツネとよばれます。
経常利益 = 営業利益 + 営業外利益 - 営業外費用 です
営業外収益と営業外費用とは
営業外(事業以外)で生じる収益や費用を「営業外損益」と呼びます。ひとことでいうと、お金(財務)に関する収益や費用が「営業外損益」となります。
営業外収益・営業外費用とは、具体的には次のようなものです。
主な営業外収益
□ 受取利息、受取配当金、為替差益、引当金の戻し入れ、雜収入など
主な営業外費用
□ 支払利息、為替差損、各種の引当金、雜損失など
このうち、重要なものは受取利息と支払利息です。受取利息とは預金や貸付金から発生する利息のことで、支払利息とは金融機関や取引先からの借入金などに対して支払う利息のことです。
営業外費用には銀行への支払利息が含まれています
したがって、経常利益が黒字の会社は、通常の事業活動をつうじて支払利息を払える会社として金融機関は評価します。
たとえば、本来の事業でどれだけ稼げているかを表す営業利益がいくらたくさんあっても、多くの借金があれば利息がふくらみ、経常利益が赤字の会社があるとすれば、一定の理由がないかぎり、金融機関はこういう会社を評価しません。
経常利益はPLの中で最も重要な利益ということは
会社の経常利益が黒字であれば、金融機関は融資可能と評価します。しかし、経常利益の赤字が継続すると、支払利息さえ自力で返せないと判断され、融資は困難と評価されます。そういう意味で、経常利益は損益計算書の中の利益のうち最も重要な利益です。
経営者は「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことをおすすめします。
そのためには、まず決算書を直感的にざっくり理解することをおすすめします。
“会計”で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
・② 決算書の全体像をイメージする。
・③ 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう。
・④ 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります。
・⑤ 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意。
・⑨ 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。
土曜日は「会計」を紹介しています。
ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/
「会計超理解ハンドブック(No1~No17)」
会計の勉強を始めた起業者の方に、会計をわかりやすく解説しています。
・「会計の勉強を始めたが…」はこちら(10/28)
・「財務三表とは?」はこちら(11/4)
・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
・「損益計算書は前期と比較する」はこちら(11/18)
・「貸借対照表は三つの箱で理解する!」はこちら(11/25)
・「貸借対照表は五つの箱で考える」はこちら(12/2)
・「貸借対照表で現金を増やす方法がわかる」はこちら(12/9)
・「キャッシュフロー計算書は資金繰り表です」はこちら(12/16)
・「減価償却費って何ですか?」はこちら(12/23)
・「利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる」はこちら(12/30)
・「決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイント『純資産』」はこちら(1/6)
・「貸借対照表のチェックポイント『固定資産と純資産』」はこちら(1/13)
・「C/F計算書のチェックポイントは『営業キャッシュフロー』」はこちら(1/20)
・「貸借対照表は2期分ならべて、比べる」はこちら(1/27)
・「利益の増加とは、自力で資金調達していることと同じです」はこちら(2/3)
・「毎月、試算表を作成して活用する!」はこちら(2/10)
・「月次試算表から資金繰りを把握する方法」はこちら(2/17)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
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