「介護会計のルールで大切なのは、会計の区分!」~介護事業者のための会計ハンドブック
土曜日は「介護事業者のための会計ハンドブック」として、経営に必要な会計を分かりやすく紹介しています。
今回は7回目です。「介護会計のルールで大切なのは会計の区分!」です。
「会計」と言っていますが、要するに「お金の管理」です。
領収書を整理したり、伝票をつくったりすることは、会社にとって必要なことですが、経営者にとって大切なことは、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする。」(「起業の技術」浜口孝則:かんき出版)」ことです。
介護事業を経営管理する場合には、遵守すべき会計ルールがあります。
厚生労働省令第37号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に、重要な会計ルールが規定されています。
そのうちの第38条です。次のとおりです。
第38条(会計の区分)
指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなれければならない。
このように第38条において、事業ごとに会計を区分する旨を規定しています。
会計処理の具体的な方法等については、同令第37号通知で「別に通知する」としています。
「別に通知されている」のが、平成13年3月28日付け老振発第18号「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」です。
この通知(老振発第18号)では、
① 事業毎に区分が必要とされる科目の按分方法を示しています。
介護保険の給付対象事業の実施主体は様々であり、法人等の種類によって異なる会計基準が適用され、会計処理が行われていることから、 介護保険の給付対象事業に係る会計経理については、法人等の事務負担にも配慮し、全ての主体に統一的な方式による会計処理を求めるのではなく、それぞれの法人等に適用される会計基準等を基本としつつ、 その会計基準等とは別に会計処理の段階で事業毎に区分が必要と想定される科目の按分方法を示し、これに基づく按分を行うことにより、運営基準を満たすこととするものである。
② 参考例として区分が想定される科目、按分方法や様式を示しています。
本通知においては、事業所又は施設単位で経理が区分されることを前提としつつ、同一事業者が介護保険の給付対象事業とそれ以外の事業を行っている場合又は複数の給付対象事業を行っている場合について、それぞれの事業毎に区分が想定される科目及びその按分方法並びに様式についての参考例を示すものである。
③ 合理的な方法により事業毎に区分されていれば差し支えありません。
なお、本通知で示す按分方法及び様式によりがたい場合には、合理的な方法によりそれぞれの事業毎に会計が区分され、その状況が明らかにされていれば、運営基準を満たすものである。この場合においても、例えば各種調査において会計の状況について記載を求められた際に適切に対応できるような区分がされていることが必要である。
これらの会計ルールを遵守し、ルールに基づいた財務諸表を作成して報告することは、大変重要です。適正な会計区分をおこなっていない場合、運営基準違反として指導対象となります。また、厚生労働省の規定のため、このことを知らない会計事務所が多いといわれています。
運営基準の違反云々の前に、サービスごとの会計の区分は、継続的に介護サービスを提供するための適正な運営管理に必須のことだと考えます。
会計の区分の検討にあたっては、前に専門家に相談されることをおすすめします。
介護会計に関するご質問・ご相談については、窓口から電話やメールでお気軽にご相談ください。(初回無料です)
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
土曜日は次のとおり「介護事業者のための会計ハンドブック」を連載しています。
・「介護会計?介護事業における会計ルールとは?」はこちら(9/23)
・「利益がないと借金は返済できません!」はこちら(9/16)
最近の火・木曜日の「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。
・「自立支援に軸足を、現場での自立支援の取り組みを促すインセンティブ強化も必要!およびそのスケジュール感」はこちら(9/28)
・「自立支援介護の全国展開と介護報酬への組み込みのため、科学的介護の実現が必要」はこちら(9/26)
最近よく読まれている記事
・「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)
介護事業は社会課題解決事業です。
保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。
課題をお持ちの開業を準備されている方や準備を検討されている方は、是非、ご相談ください。一緒にベストな解決策を検討しましょう。
制度変更により、大きく収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定や会計数字を予測して、事業経営に活用することが大切だと思います。
月・水・金は次のとおり税務の記事を紹介しています。
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」