借入金で購入してはいけない土地と建物。キャッシュフローを圧迫します ~ 中小企業の「決算書」の読み方[41]
「経理・会計」の記事です。
今回は
借入返済金の限度額は、償却前利益(当期純利益+減価償却費)で考えます。しかし借入金で土地と建物を購入した場合は?
を紹介します。
借入金の返済財源は当期純利益と費用でもお金が出ていかない減価償却費の合計額になります。その合計額が返済の限度額です。
当期純利益 + 減価償却費とは
償却前利益といいます。
たとえば、会社の当期純利益が1,000万円、減価償却費500万円としますと償却前利益は1,500万円になります。
当期純利益 1,000万円 + 減価償却費500万円 = 償却前利益 1,500万円
この償却前利益が1年間に借入金を返済できる限度額になります。
<参考>
しかし土地や建物を借入金で買った場合は借入返済金限度額を償却前利益で考えては失敗します
① たとえば土地を借入金で取得した場合
土地は減価償却ができません。
土地の借入金返済額 ○○円 > 減価償却費0円 です。
土地の借入金返済額に対応するキャッシュフローが減少します。
② たとえば建物を借入金で取得した場合
建物は減価償却資産なので減価償却費は発生します。ただし、建物の耐用年数は長いです。
たとえば鉄筋コンクリート造りの事務所であれば、耐用年数は50年です。これを取得するために借り入れた借入金の返済期間は、おそらく20年~30年です。
次のように考えます。
借入金の返済期間 20~30年 < 耐用年数 50年
建物の借入返済額 ○○円 > 減価償却費○○円
つまり、耐用年数に満たない借入金返済期間に対応する部分のキャッシュフローが減少します。
減価償却の対象とならない土地や耐用年数の長い建物は、借入金で取得するとキャッシュフローを圧迫します。
借入金ではなく、利益を出して蓄積した内部留保(利益剰余金)などの自己資本で取得する必要があります。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日、元気にお過ごしくださいね。
[編集後記]
トップの画像は、帰宅途中に見た「三丁目の夕日」
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