売上原価を算出するときに棚卸をごまかさない。売上原価と在庫の考え方。 ~ 中小企業の「決算書」の読み方[6]
経営者にとって必要な“会計”を紹介していきます。
今回は
売上原価を算出するときに、棚卸をごまかさない。売上原価と在庫の考え方。
を紹介します。
損益計算書では、売上原価を次のように計算します
売上原価 = ①期首在庫 +②当期仕入高 -③期末在庫
在庫はまとめて数えます(棚卸し)。そして、間接的に売上原価を計算します。
上の算式は、具体的には次のような考え方です。
「たとえば、Hモータス(株)では、①前月末に販売用の車を5台持っていました。②今月になって車を6台仕入れました。③今月末、車は3台残っていました。さて、今月は車を何台販売できたでしょうか。(答)8台」
ということは、期末の棚卸在庫を増やせば、売上原価は小さくなります
利益をかさあげしたいがために、架空の棚卸を計上することは問題になります。
利益を増加させることには、税務署は何もいいませんが。
問題は翌期に引き継がれます。
翌期には架空の棚卸在庫が仕入高に加わります。
それでも、引き続いて翌期にも利益を出したいとなると、また架空の棚卸を計上することになります。
つまり、架空棚卸在庫の循環が続くわけです。
安易に架空棚卸在庫することは、正しい経営を見えなくすることになります。
次のようなイメージです。
一方、期末の棚卸在庫(棚卸金額)を減らせば、売上原価は大きくなります
利益を少なくしたいがために、過少の棚卸を計上することは問題になります。
利益を減少させることには、税務署は問題にします。
また、これだけではありません。問題は翌期に引き継がれます。
翌期は過少に計上した棚卸在庫が仕入高に加わります。
ということは、売上原価が小さくなり、利益が増加することになります。
それでも、引き続いて翌期にも利益を過少にしたいとなると、また過少の棚卸を計上することになります。
つまり、過少の棚卸在庫の循環が続くわけです。
次のようなイメージです。
<参考>
→ 会計では、売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意事項です
中小企業の「決算書」の読み方では、中小企業の経営者が自社の決算書の見方を理解して、それを経営に活かせる考え方を紹介していきます。
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