「空家法の対象拡大」と「固定資産税の住宅用地特例を適用除外とする基準の明確化」の提案~ 空き家問題⑰
空き家対策の実効性を図るために、京都市が国(総務省・国土交通省)に対して制度改正を提案している内容を紹介します。
提案を踏まえると、空き家対策の現状と課題が分かりやすいです。
提案は2つです。
①「空家等対策の推進に関する特別措置法」の対象拡大と②空き家の活用を促進するための、固定資産税の住宅用地特例を適用除外とする基準の明確化
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の対象拡大とは
現状は
長屋の一部空き住戸が対象外となっているので、次のような問題があります。
■長屋のうちの一戸が著しい管理不全状態であっても,他の住戸に居住者がいる場合は、 空家特措法の対象外であり、市が通報を受けた空き家のうち、約30%が法の対象外です。
■市では、空家特措法の対象外の空き家については、条例に基づき指導等を実施しています。
■条例による勧告では固定資産税等の住宅用地特例が解除されません。また、条例に基づく 過料は法の規定より少額です。空家法による指導等の方が強力となります。
これを踏まえて提案は
長屋および共同住宅の一部の空き住戸を空家法の対象とするよう要望しています。
「固定資産税の住宅用地特例を適用除外とする基準の明確化」とは
現状は
■市の空き家は約11万4千戸。うち、市場に流通していない「その他の住宅」に該当する空き家が約4万5千戸を占めます。
■空き家が放置されますと、所有者不明や管理不全状態に陥るおそれが高くなります。
■空き家の流通・活用の促進には固定資産税の住宅用地特例の適用除外が効果的です。
しかし、住宅用地特例は「空き家であることのみ」をもって、適用除外とはなりません。
■つまり、適用除外の判断基準が具体的に示されていないので、現在の仕組みでは空き家の放置を助長してしまうことになります。
<参考>
次のようなイメージです。
これを踏まえて提案は
住宅用地特例の適用除外の判断基準として、例えば居住実態がない期間を具体的に示すなど、空き家の流通・活用を促進するための統一的な基準を創設するよう要望しています。
(出所:京都市:平成30年度国の予算・施策に関する提案・要望)
空き家問題
③ 家を取り壊しても固定資産税評価額がそのまま課税対象となるわけではありません
④ 空き家発生のメカニズムを押さえると空き家問題の対策が取りやすい
⑤ 空き家のコスト(管理費用など)は、そもそもどれぐらいかかるのか?
⑥ 毎年かかる住宅用土地の固定資産税は、どのように計算されているのか?
⑦ 固定資産税はどうやって計算されるのか?固定資産税の計算方法
⑨ 吹田市空家等対策計画(案)の「空家等対策の具体的な取り組み」
⑩ 吹田市空家等対策計画(案)「空家等を保有しながら固定資産税を払っても困らない」
⑪ 空き地売却で所得から最大「100万円を控除」する制度が新しくできるようです
⑫ 所有者不明土地への固定資産税を徴税しやすくする新しい仕組みとは
⑭ モラルで通じない人には経済的インセンティブを与えていくしかない
⑮ 「吹田市空家等対策計画(素案)」これから力をいれて取り組む事項
⑯ 「吹田市空家等対策計画(素案)」の空家等と「空家等」。長屋の一部空き住戸問題
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