「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」と「相続取得の空き家売却(特別控除)」 ~ 空き家問題①
今回は、地域での「空き家」についての税務とその背景を紹介します。
ブログでは
「相続取得の空き家売却(特別控除)」について、詳しく紹介をしてきました。
税務では次のようなケースで、この特別控除を活用します
田舎の父親が亡くなり、一人で暮らしていた実家を相続しました。相続した空き家を売却します。その場合、相続した空き家で一定の要件を満たすときは、不動産の売却益から3,000万円を限度として特別控除が認められます。
制度の趣旨
① 空き家が毎年約6.4万戸のペースで増加しており、うち約5万戸は耐震基準を満たしていません(昭和56年5月31日以前に建築)。
② そのまま放置すると地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすため、そうした空き家の発生を抑制するためです。
特別控除を受けるための空き家の要件(ざっくりと)
相続により取得した被相続人の居住の用に供されていた家屋と敷地を譲渡した場合に、特別控除を受けることができます。
① マンションは該当しません。
② 昭和56年5月31日以前に建築された家屋・その敷地であること。
③ 亡くなった人が一人暮らしをしていた家屋であること。
④ 相続開始の日から3年後の12月31日までに売却すること(亡くなってから他の人が住んだり、または貸し付け等をしていないこと)
④ 家屋を取り壊した後に土地を売却する、または家屋を新耐震基準にリフォームして売却すること。
この譲渡特例の背景となった理由は
全国の空き家が増え続けているからです。
2013年で全国の空き家の数は820万戸。空き家率は約14%です。しかし「既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、20年後の2033年には、空き家は2,167万戸で、空き家率は30.4%に倍増します」(野村総合研究所の試算)
そのため、平成27年5月に「空家特措法」が施行されています
正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。
適切な管理が行われていない空や家等が防災、衛生、景観等などの地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用を促進するための法律です。
この空家特措法には2つのポイントがあります。
■特定空家等に対する措置
市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令が可能となります。
■固定資産税等の住宅用地特例に関する措置
特定空家等として法に基づく「勧告」を受けた場合は、地方税法の規定に基づき、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されます。
「固定資産税の住宅用特例の対象から除外」の意味は
固定資産税、都市計画税は「住宅用地の課税標準の特例」という制度により税金の負担が軽減されています。
ただし、「住宅用地の課税標準の特例」が適用されるルールは「住宅が建っていること」。つまり、空き家を解体してしまうとこの制度が適用されなくなり、税金が高くなってしまいます。
「固定資産税の住宅用特例の対象から除外」の影響は大きいですので、特定空家にならないように考えるわけです。
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