「事業承継を考える場合のポイントは、後継者がいるかどうかです」では、その次に大切なものは?
水曜日に税理士の視点から「事業承継」を記事にしていますが。今回は番外として。
下の図は事業承継を考える場合のざっくりとしたフロー図です。その中で(2)が「後継者がいるかどうか?」の設問になります。
一番重要な分岐点になります。
「YES」であれば贈与または譲渡、「NO」であればMBOまたM&Aというフローになります。
(出所:「平成29年度版事業承継の安心手引」、辻・本郷税理士法人)
後継者がいるかどうかでフェーズが180度変わるわけです。
しかし、後継者が決まっている企業は、次のように実際はわずか1割しかありません。
「…後継者について既に決まっている企業が全体の12.4%のみで、21.8%は未定、50%が現在の代で廃業予定となっており、多くの企業で事業承継に課題を抱えている現状がわかる」
(出所:週刊税務通信N03410、税務研究会)
後継者決定企業が1割ということは、つまり残りの後継者未決定企業が90%ということです。その後継者未決定企業のうち、後継者不在で未決定なのか?複数の候補者がおり未決定なのか?どちらなのか分かりませんが、おそらく、「子供がいても後を継ごうとしないということ」が大きな要因だと推測しています。
しかし、経営者が後を継がせたくないと思っているケースもあるのかも知れません
子供が後を継がないケースがありますが、逆に経営者が子供に後を継がせたくないというケースがあるのかも知れません。
私事で恐縮ですが、私の場合はそれにあたるのかも知れません。父親は中卒で、地方で小さなスーパーを経営していましたが、私にその経営を引き継いて欲しいと言ったことはまったくありませんでした。
父親は、息子には大学を卒業して安定したサラリーマンになって欲しいと思っていたようです(父親が進路を強制することはまったくなかったですが、しかし、私はなんとなく父親の希望は感じてはいました)。
私はサラリーマンをしつつ、その間、父親の背中をずっと見てきて、経営者に対する憧憬を抱いていました。
そういった素地から事業主や経営者を支援していく生業につくようになったわけです。
こうした経験からこどもを後継者にするかどうかは、親の気持ちやこどもの気持ち、どちらも大切ですし、強制することはできないと思っています。
経営者や後継者に該当するこどもの気持ちやが大切だと思っています。
そうしたものの次に、重要な課題である「自社株式に係る相続税、贈与税の負担」、「円滑な株式譲渡と買い取り」などの財務面、事業承継の前と後の経営改善などの面で、アイデアを出して喜んでいただけるよう税理士として取り組んでいきたいと考えています。
少子高齢化などの社会的な変化を凝視しながら、事業承継について対策や予測を税理士の視点から考えていきます。
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みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
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