事業を営んでいる個人事業主です。取引先から電子メールにPDFの請求書が添付されて送付されます。改正後はどのように保存すればよいですか? ~ 電子帳簿保存法改正[3]
今回は
改正後(2021/04/01~)電子メールによる請求書や領収書などのPDFファイルのような電子データは、書面による保存は認められません
を紹介します。
電子帳簿保存法とは
法人税や所得税で紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、一定のルールを満たしたうえで、電子データによる保存を可能にするなどを定めた法律です。
たとえば、改正後、次のような電子データは書面による保存は認められません
① 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル)
② インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書のデータ(PDFファイル等)
③ ホームページ上に表示される請求書や領収書のスクリーンショット
取引情報(請求書や領収書等に記載される日付、取引先、金額等の情報)を電子データで保存しなければなりません。
改正後は、紙(書面)の保存措置が廃止されます。出力した書面では、保存書類として取り扱われません。
改正後の対応として、たとえば、次のような方法で保存すればルールを満たしていることになります
① 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示します。
たとえば、2022年10月31日に株式会社オネット商事から受領した110,000円の請求書であれば
⇒「20221031_㈱オネット商事_110,000」
② 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存します。
③ 訂正削除の防止に関する事務処理規程を作成し備え付けます。
④ 税務調査時に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、このデータを提出することになります。
⑤ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が 1,000 万円以下であり、ダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索機能は不要になります。(つまり、①の設定は不要です。)
電子データを保存しなければならないこととされましたが、上のような方法により保存することで要件を満たすことになります。
または
「①の請求書データ(PDF)のファイル名に規則性をもって内容を表示」する方法にかえて、索引簿による管理が可能です
つまり、索引簿を作成し、受領した請求書などのデータのファイル名に連番を付して、内容については索引簿で管理する方法があります。
こちらの方法の方が時間がかかるように思います。面倒です。
<参考>
電子取引の取引情報に係る電子データの保存を行う場合の要件
1 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
2 見読可能装置の備付けなど
3 検索機能の確保
次のいずれかの方法を実施します。
①タイムスタンプが付された後の授受
② 速やかにタイムスタンプを付す
③ データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
④ 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付
(出所:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問11、12)
【電子帳簿保存法改正に関する記事】
1 電子帳簿保存法の改正により「スキャナ保存」に関する要件が緩和されます。「タイムスタンプ付与が不要」のクラウドとは 21/08/11
2 電子データが保存書類と認められるためには、訂正削除の防止の事務処理規程の備え付けが現実的?21/09/30
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