厚生労働省が令和元年度「介護事業経営概況調査結果」を12/27に公表しています
「介護事業経営概況調査」とは、次期の介護保険制度の改正および介護報酬の改定に必要な資料を得るための厚生労働省が行う介護事業の経営実態調査です。
調査には、「概況調査」と「実態調査」があります。今回公表されたのは
平成30年度の介護報酬改定後2年目に行われることになっている「概況調査」の方です
2つの調査の関係は次のとおりです。
調査時期や調査対象
調査時期は、令和元年5月(平成29年度決算及び平成30年度決算を調査)
調査対象は、全ての介護保険サービスのうち、無作為で抽出した約1万五千社です
調査結果のうち重要な資料は「収支差率」の現況と変化です
収支差率とは、次の算式で計算します。
収支査率 =(A介護サービスの収益額 - B介護サービスの費用額B)/ A介護サービスの収益額A
調査による各介護サービスにおける収支差率は、次のとおりです。
A:介護サービスの収益額とは
介護事業収益※と借入金利息補助金収益の合計額です
※ 介護事業収益は、介護報酬による収入(利用者負担分含む)、保険外利用料収入、補助金収入(運営費に係るものに限る)の合計額
つまり、平たく言うと事業での「売上高」です
B:介護サービスの費用額とは
介護事業費用、借入金利息及び本部費繰入(本部経費)の合計額です
つまり、事業での「総費用」です。
「収支差率」とは利益率のことです
たとえば、訪問看護事業の収支差率をみると平成30年度では4.2%ですので
50,000,000円の収入(売上)をあげるのに、費用が47,900,000円かかり、利益が2,100,000円残るということになります。
平成29年度と平成30年度を比較すると、収支差率は0.4%減少しています。
つまり、20万円ほど利益がすくなくなっている厳しい状況です。
一方、平成30年度の全サービス平均の収支差率は3.1%です。減少幅は▲0.8%になっています。
(出所:第174回社会保障審議会介護給付費分科会資料 令和元年12月27日(金))
他の産業の利益率と比較すると
■全産業 4.2%(+0.1%) … 財務省「法人企業統計」から
■中小企業 3.6% (+0.9%) … 中小企業庁「中小企業実態基本調査」から
この数字は平成29年の資料です。少し昔の資料です。
比較するとどうでしょうか?
ただし
「法人企業統計」の全産業「4.2%」、「中小企業実態基本調査」の中小企業「3.6%」という指標は、「売上高経常利益率」という経営指標です。売上高に占める経常利益の割合を表しています。
一方、介護事業の「収支差率」というのは、「売上高に占める税引き前当期利益」です。本当のところは、両者が対象としている利益(経常利益と税引き前当期利益)は少しだけ違います。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
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冬の1日を元気でお過ごしください。
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火曜日は、介護事業に関する記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
2040年問題
① 介護保険制度地域支援事業の「生活支援サービス」へのニーズの増加
② 介護サービスの利用者数は2040年度までに約1.5倍に増える見込です
③ 「ポスト2025年」2040年に向けて介護事業を考えるときの視点
④ 2040年に向けて介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸」とは
⑤ 介護事業を考えるときの視点「医療・福祉サービスの改革」とは
⑥ 介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸プラン」の内容とは
⑦ 生産性の向上を図るための「医療・福祉サービスの改革」の内容とは
介護職員等特定処遇改善加算(2019年10月実施)
③ 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール
④ 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール
⑦ 特定処遇改善加算と処遇改善加算を合計した上乗せ率、最上位20%
⑧ 改善計画書作成2つのポイント。「特定加算の見込額」と「賃金改善の見込額」
⑨ 改善計画書の作成ポイント「各々のグループの平均賃金改善額を算出」
⑩ 改善計画書の作成ポイント。3要件のうち「職場環境等要件」とは
⑬ 4月から“年5日の年次有給休暇取得の義務”をご存じですか
⑭ 2019年4月から「労働時間の状況の把握」が義務化されています
⑮ 「職場環境等要件」と介護プロフェッショナルキャリア段位制度
⑯ 特定加算(Ⅱ)の算定にあたっては介護福祉士の配置等要件は満たす必要はない
⑳ 事業所内で働く介護職員がすべて「経験・技能のある介護職員」である場合
㉑ 介護だけではなく、看護や障害福祉サービスの業務を兼業している職員がいる場合
2025年に向けた介護人材の確保~介護人材確保の具体的な方策
③ なぜ、介護職は働き続けるためのキャリアパスの構築ができないのか?
④ 介護職に必要なキャリアパスのキーワードは「多職種によるチームケアの推進」
⑨ 介護の在留資格。外国人の在留資格「特定技能」(介護)の創設
平成31年度の介護報酬改定(2019年10月実施)
② 高額対応投資
⑪ 新処遇改善加算の「10年以上8万円」と「事務所内での配分」の議論
⑬ 介護給付費分会での「新しい処遇改善加算の取得要件」についての意見
平成30年度
「有料老人ホームなど特定施設入居者生活介護」の介護報酬改定は次のとおりです。
① 「新しい住宅セーフティネット法」が10月25日から施行されています
④ 有料老人ホームなど基本報酬の引上げを抑え、医療連携に新加算
⑩ ショートステイ特定施設入居者生活介護の利用者数の上限見直し
⑫ スプリンクラー設置義務の経過措置は平成30年3月31日に終了
「通所介護」の重要事項は次のとおり。
⑤ 「栄養改善加算」外部との連携で管理栄養士を配置した場合にも算定可能
⑥ 共生型生活介護など介護と障害福祉の両方で共生型サービスが始まっています。
⑧ 障害福祉サービス事業所が要介護者にサービスを提供する場合
「認知症対応型共同生活介護」重要事項は次のとおり
「介護老人保健施設」重要事項は次のとおり
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収
「訪問看護」重要事項は次のとおり
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
「居宅介護支援」重要事項は次のとおり
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
「訪問介護サービス」重要事項は次のとおり
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「介護事業」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日はテーマをきめていません
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