なぜ介護職は将来の見通しを持って働き続けるためのキャリアパスの構築ができないのか? ~ 2025年に向けた介護人材の確保③
社会保障審議会の福祉部会福祉人材確保専門委員会は、「2025年に向けた介護人材確保の具体的な方策について」という資料で、介護分野における総合的な人材確保方策を取りまとめています。
この取りまとめは、その中で「将来の見通しをもって働き続けるためのキャリアパスの整備」が必要としています。
そのために具体的な方策が7つとり上げられています。
そのうちのひとつが
「介護事業者における個々の介護人材の専門性やマネジメント能力を評価するためのキャリアパスの構築と運用ノウハウの普及を進める」
です。
では、なぜ介護職はキャリアパスの構築が困難なのでしょうか?
その理由は介護現場における業務実態が、次の状況にあるからです。
介護業務担当者のスキルに応じた業務分担となっていません
介護に関する資格を有していない者、介護職員初任者研修修了者、介護福祉士の間で明確に業務分担がされているような状況は見られず、サービス間や提供するケアの内容で差異はあるものの、それぞれの者が同様の業務をほぼ毎日、毎回実施している状況です。
ただし、この状況については次の点に注意する必要があります。
■小規模の事業所では、実際に業務を分担できるほどの職員数がいないこと
■訪問系サービスについては、移動時間が発生することや1人での訪問となることから、一回の訪問時に複数の業務を実施する必要があること
■通所系および施設系サービスでは、起床、食事、就寝等の業務のピークタイムが存在し、介護職員が総出で複数の利用者に介護を提供する必要があること
介護過程の展開(アセスメント→介護計画の作成→介護の実施→モニタリングによる評価→必要に応じて介護計画の見直し)に関わっている介護職が少ない実態があります
利用者の尊厳ある自立した日常生活を支援していくには、多職種によるチームケアが重要となります。その際、利用者に関わる介護職は、介護職のグループとして同じ方向性で介護を提供することが重要です。
そのためには、介護過程の展開(アセスメント→介護計画の作成→介護の実施→モニタリングによる評価→必要に応じて介護計画の見直し)において、介護計画に沿った介護が提供されているかどうかの進捗管理が必要となります。
現状では、自らの役割として介護過程の展開に中心的に関わっている介護職は少ない実態があります。
外部からの情報収集やより良いケア方法の提案を行っている介護職は少ない実態があります
介護過程を展開していくにあたっては、情報収集や情報共有を図りつつ、利用者の自立支援に向けたより良いケア方法の提案といったことも重要となります。
しかし、外部からの情報収集やより良いケア方法の提案を常に行っている介護職は少ない状況です。
(出所:平成29年10月4日 同委員会資料「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」)
人材の構造転換のイメージは次のとおりです。
(出所:同委員会資料)
Every day is a new day!
春の1日を元気でお過ごしください。
【編集後記】
トップの画像は、姪のこども「一紗」です。
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火曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
2025年に向けた介護人材の確保~介護人材確保の具体的な方策
平成31年度の介護報酬改定(2019年10月実施)
② 高額対応投資
⑪ 新処遇改善加算の「10年以上8万円」と「事務所内での配分」の議論
⑬ 介護給付費分会での「新しい処遇改善加算の取得要件」についての意見
平成30年度
「有料老人ホームなど特定施設入居者生活介護」の介護報酬改定は次のとおりです。
① 「新しい住宅セーフティネット法」が10月25日から施行されています
④ 有料老人ホームなど基本報酬の引上げを抑え、医療連携に新加算
⑩ ショートステイ特定施設入居者生活介護の利用者数の上限見直し
⑫ スプリンクラー設置義務の経過措置は平成30年3月31日に終了
「通所介護」の重要事項は次のとおり。
⑤ 「栄養改善加算」外部との連携で管理栄養士を配置した場合にも算定可能
⑥ 共生型生活介護など介護と障害福祉の両方で共生型サービスが始まっています。
⑧ 障害福祉サービス事業所が要介護者にサービスを提供する場合
「認知症対応型共同生活介護」重要事項は次のとおり
「介護老人保健施設」重要事項は次のとおり
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収
「訪問看護」重要事項は次のとおり
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
「居宅介護支援」重要事項は次のとおり
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
「訪問介護サービス」重要事項は次のとおり
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
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